マイクロフォーサーズ規格のデジタル一眼は、レンズ交換式デジタル一眼のジャンルでシェアを高めつつある。小型・軽量ボディーのメリットが生かせる薄型パンケーキレンズとの組み合わせが主流だが、せっかくのレンズ交換式カメラなのにずっと同じレンズを使っているのは面白くない。
今年に入り、撮影の幅を大きく広げるマイクロフォーサーズ用交換レンズが各社から続々と登場している。夏から秋のレジャーシーズンにあると便利な最新交換レンズ2本の実力を検証していこう。今回は、1本あると幅広い撮影に利用できる高倍率ズームレンズだ。
| |||||||||
![]() |
| ||||||||
オリンパスイメージングのマイクロフォーサーズ一眼「オリンパス・ペン」シリーズのコンパクトなボディーには、パンケーキレンズと称される薄型レンズが似合う。だが、便利なズームレンズに慣れた身には、単焦点レンズが不便と感じることもある。旅行に出かける時などは、かさばるレンズを何本も持ち歩くよりは、1本で済ませられれば手軽だ。広角から望遠まで幅広くカバーする高倍率ズームレンズがあれば、1本であらゆる撮影が楽しめる。
マイクロフォーサーズ規格に準拠した高倍率ズームレンズは、パナソニックがハイビジョン動画撮影に対応した「LUMIX G VARIO HD 14-140mm/F4.0-5.8 ASPH./MEGA O.I.S.」を発売している。だが、決して小型軽量といえるサイズではないうえ、実売価格が7万5000円前後と比較的高価だった。
オリンパスイメージングが6月25日に発売した「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」は、同社のマイクロフォーサーズ用レンズとしては4本目の製品となる高倍率ズームレンズだ。10.7倍のズーム倍率を持ちながら、重さは約280gとかなり軽量だ(前述のパナソニックの14-140mmレンズは約460g)。直径は64mm、長さは最小で83mmと、この倍率の高倍率ズームレンズとしてはかなりコンパクトといえる。
オリンパスイメージング初のマイクロフォーサーズ用高倍率ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」。E-P1に装着するとレンズの存在感が目立つが、ズーム倍率が10倍を超えるレンズとしてはとてもコンパクトだ
実売価格は6万5000円前後と、パナソニックの14-140mmレンズよりも1万円ほど安い。レンズ自体が小型・軽量で価格も抑えられており、マイクロフォーサーズのメリットを大いに生かしたレンズといえよう。
オートフォーカスの駆動音が少なく、動画撮影にも最適だ
35mm判換算の焦点距離は28~300mm相当で、近ごろ各社が製品を投入しているコンパクトデジカメの高倍率ズーム機に近い印象だ。標準ズームレンズの広角側と同じ画角から、本格的な望遠レンズにも負けないほどの望遠側の画角までをカバーしている。撮りたいと思ったほとんどの被写体に対応できるといっても過言ではない。
最短焦点距離は50cmで、レンズの先端からだと33cmとなる。もっとも接近すると、名刺大の被写体を画面いっぱいに撮影できる。ちょっとしたマクロレンズのような使い方も可能だ。
光学機器メーカーらしく、内部にはDSA(大偏肉両面非球面)レンズやE-HR(低分散高屈折率)レンズ、EDレンズなど、特殊なレンズがふんだんに使われている。小型化とともに画質の向上にも貢献しているという。