音楽とライブ動画の世界に新しい歴史が刻まれようとしている。日本のフュージョン音楽界を代表するバンド、カシオペアの向谷 実氏と、シンガー・ソングライターとして知られる中西圭三氏が中心となって進んできた「向谷 実×中西圭三プロジェクト」だ。

 向谷 実氏が目指すのは、音楽制作の現場をUstreamを通じて可視化することと、UstreamとTwitterによって開かれた世界を通じてまったく新しい音楽と映像のスタイルを築くことにある。ひとことでまとめるのは難しいので、どんなことが進められているのかを個条書きにしてみよう。

  1. 向谷氏自らがUstreamを配信し、Twitterを通じて視聴者とともに放送を作っていく
  2. 中西氏をはじめ、プロジェクトに賛同したアーティストが続々と参加
  3. 打ち合わせなしの作曲現場をリアルタイムでUstream配信
  4. できあがった曲をMP3ファイルで無料配布し、視聴者から歌詞を公募
  5. リアルタイムで歌詞を修正。視聴者からのアイデアがそのまま生かされる。向谷氏いわく「見ている人全員がプロデューサー」
  6. ネット経由の同時演奏ソフト「NETDUETTO」(開発中)を使い、ギタリストの斉藤英夫氏がギターパートに参加
  7. 作成したデモテープをMP3ファイルとして無料配布
  8. アーティストが参加する本格的なスタジオ収録を実施
  9. セッティングからトラックダウンまで、スタジオ収録の3日間を丸ごとUstream配信
  10. パートごとにUstream配信。8つのチャンネルで同時中継するマルチUstreamストリームを実施
  11. Ustreamに詳しいゆすとら氏がマルチストリーム視聴のための専用Webサイトを開設
  12. 完成した楽曲はiTunesなどで直接販売され、シングルチャートの上位にランクイン
  13. JASRACなどの著作権管理団体を通さず自主配信。DRMをかけずに配信する
  14. ボーカルやギターなどが独立したトラックを別ファイルにしたパッケージを販売

 リアルタイムで楽曲を完成させていく姿をインターネットで配信する。どれを取ってみても、今までに例のない画期的な取り組みだ。向谷氏はUstream配信の中で「今見ているあなた、参加しているあなたが歴史の証人です」と語っているが、まさにそのとおりのプロジェクトと言えるだろう。

 今回のプロジェクトで作られた「Twilight Stream」と「21st Love Express」は、いずれもiTunesで試聴・ダウンロードができる。実際に作られた曲をBGMにしながら記事を読んでみてほしい。

向谷氏(左)と中西氏(右)。UstreamとTwitterを組み合わせた、前例のない音楽プロジェクトを進めている(画像クリックで拡大)