アップルのタブレット端末「iPad」が2010年5月28日、日本で発売された。発売初日には、アップルストア銀座とソフトバンク表参道にiPadを求める人の長蛇の行列ができた。iPadを購入した人や店頭で触った人は、9.7型の画面の美しさと動作の軽快さに驚いたはずだ。それでいてバッテリーは、Wi-Fiでインターネットに接続しても約10時間稼働する。重さはWi-Fiモデルが680g、Wi-Fi+3Gモデルが730g。片手でも楽に持てる重さだ。

 なぜiPadはこんなに画面がきれいで、動作が軽快なのか? 日経エレクトロニクスと日経WinPCの協力を得て、米国版のWi-Fiモデル(16GB、499米ドル)を分解して、その秘密を探った。電子機器メーカーや部材メーカーの技術者が分解した。

アップルが5月28日に日本で発売したタブレット端末「iPad」。分解には米国版のWi-Fiモデル(16GB)を使用した

大容量のバッテリーと新プロセッサーで長時間稼働を実現

 作業工程で一番の難関はきょう体を開けることだった。アップルの製品は、見えるところにネジが露出していない。iPhoneもiPad touchと同じく、iPadでもどこにもネジは見当たらない。

 分解するには上部の樹脂製のパーツとアルミニウム製のボトムのわずかなすき間をこじ開けるしかない。手慣れた技術者でも10分近くかかった。細かなケーブルを抜いて、表側と裏側の2つに分けたのが下の写真だ。

左が表側(ディスプレイ)、右が裏側(底面)(画像クリックで拡大)

 左が表側で、ほとんどがディスプレイとなっている。右がメーン基板、バッテリー、スピーカーなどを実装している裏側だ。裏側の真ん中の縦長の黒い物がリチウムポリマーバッテリーだ。容量は定格で24.8Whだった。iPhoneと比べると約5倍の大容量だが、一般的なノートパソコンと比べると半分ほどだ。公称10時間もバッテリーで稼働できるのは、「アップルが開発したプロセッサーの消費電力がすごく少ないからではないか」(技術者)という。

すき間にマイナスドライバーを差し込んで分解。10分近くかかった(画像クリックで拡大)

 このバッテリーをアルミニウム製のボトムからはがすのも一苦労だった。ボトムに両面テープや接着剤で張り付けられていたのだ。「修理は難しいのでは」と参加した技術者たちは口をそろえた。

 バッテリーの上のシールドに覆われたパーツがメーン基板だ。非常に小さいパーツで、「このままでもiPhoneに収まりそう」(技術)なほどだ。プロセッサーは次期iPhoneでも採用が噂されている「アップル A4」。ARMベースで動作周波数は1GHz。256MBのRAMとグラフィックス機能も内蔵している。iPadの動作が軽快な理由は、「A4に向けにソフトウエアを最適に作りこんでいるからではないだろうか」(技術者)と分析していた。

 ストレージはサムスンエレクトロニクス製の64Gピットのフラッシュメモリーを2個搭載していた。もちろんメーン基板に直付けだ。

メーン基板。黒色に塗られている(画像クリックで拡大)

メーン基板の裏側(画像クリックで拡大)