東京都墨田区に建設中の新しい電波塔「東京スカイツリー」。先日、東京タワーの高さ(333m)を抜き、2011年末の完成を前に早くも日本一の高さになったことが話題を呼んだ。現地には連日多くの人が押し寄せ、カメラを片手に撮影を楽しんでいる。

早くも観光スポットとなっている東京スカイツリー。週末ともなると、カメラを構える多くの観光客でいっぱいになる(画像クリックで拡大)

 人気の高まりとともに、よりディープに建設中の様子を追いかける「スカイツリーマニア」が登場している。彼らが注目しているのが、スカイツリーを上空から撮影する「空撮」だ。この春、一般向けにヘリコプターを利用しての格安空撮体験サービスを提供する会社も登場したからだ。ネット上には、ヘリコプターやセスナ機などから撮影したスカイツリーの写真も少なくない。実際にどのような感じで撮影が進むのか、体験取材を敢行した。

好きなルートが選べ、ヘリコプターの窓を開けて撮影できるのが魅力

千葉県浦安市の浦安ヘリポートからの空撮体験を実施しているエクセル航空。最寄り駅はJR京葉線の舞浜駅だ。東京湾を囲んで、東京ディズニーリゾートに隣接する(画像クリックで拡大)

 ヘリコプターを利用した一般向けの空撮体験サービスを提供しているのが、千葉県浦安市にあるエクセル航空だ。本格的なサービス開始はこの4月からだが、早くも問い合わせが舞い込んでいるという。

 人気のポイントは「価格の安さ」と「自分の思い通りの撮影に専念できる点」だ。業務撮影などで利用される通常のチャーター料金は、1時間で数十万円はする。だが「一般向けのデジカメやビデオカメラも高性能になり、夕方や夜間でも美しい写真や動画が撮れるようになった。幅広い層に空撮の楽しさや魅力を広く知ってもらいたい」(運航事業課・志田信幸氏)と考え、個人向けに20分間で10万5000円の割安な価格設定の空撮体験サービスを用意したという。

 同社は、もっと低価格の遊覧飛行も実施しているが、遊覧飛行と空撮体験では決定的な違いがある。まず、通常の遊覧飛行は乗り合いであることだ。ほかの乗客もいるので、必ず窓際が確保できるとは限らない。運よく窓際の席だとしても、ほかの乗客の迷惑になるので、ずっと窓を占領することはできない。空撮体験ならばヘリコプターを貸し切れるので、窓は自分だけのものだ。思う存分撮影できる。

 もっとも大きなアドバンテージは、窓が開けられるタイプのヘリコプターを利用する点だ。遊覧飛行では、基本的に窓が開かないヘリコプターが使われるので、反射や微妙なゆがみ、色づき、擦り傷や汚れが写り込んでしまう。窓が開けば、そのような画質劣化や余計なものが写り込む心配は無用だ。

空撮で活躍するヘリコプターが「ユーロコプター式AS355N型」(JA355E)だ。窓が開くタイプのヘリコプターで、最大3名が乗れる(画像クリックで拡大)

 撮影のルートや時間帯の融通が利く点も、チャーターならではのメリットだ。遊覧飛行では、時間帯や天候に応じてルートが決まってしまうので、自分の思い描いた写真を撮るのは難しい。チャーターならば、行き先や飛行ルート、フライトする時間帯はある程度自由に決められる。

 もちろん、自由気ままに飛べるイメージがある空だが、実際にはさまざまな制約がある点は忘れてはならない。飛行する高度は600m以上(東京タワーのおよそ2倍)で、これより低い高度で飛ぶことはできない。皇居など、皇室関係施設の真上を飛ぶのも禁止されている。

 もっともシビアなのが、頻繁に航空機が飛び交う羽田空港絡みの制約だ。空港から半径約9kmは空港の管制圏と呼ばれるエリアで、その領域に入るには事前の申請や調整が必要となる。今回、「都心をバックにレインボーブリッジを南側から撮影」という予定を立てていたのだが、橋の南側が管制圏に入ってしまうため、残念ながらOKは出なかった。

 これらの制約があるため、空撮にあたっては何をいつ撮りたいのかを担当者に伝え、実際に可能な計画なのかを相談する必要がある。今回は初めての空撮ということで、東京タワーと東京スカイツリーを上空から撮影するという計画で依頼し、OKが出た。