4月15日夜、地上波のテレビ放送とインターネットのライブ放送「Ustream」をミックスした画期的な放送がオンエアされた。Ustreamを利用した「ダダ漏れ」で有名なケツダンポトフと、フジテレビのアニメーション番組「ノイタミナ」(毎週木曜日、深夜24時45分~)とのコラボレーション番組「朝ダダ×ノイタミナ Ustream座談会」だ。地上波とインターネット動画サービスという異なるメディアがタッグを組んだきっかけは何だったのか、新しい試みでの苦労はあったのかを取材した。

テレビとUstreamを融合させる野心的な試み

 「ノイタミナ」は、フジテレビの深夜枠で放送されているアニメーション番組だ。「ハチミツとクローバー」「のだめカンタービレ」「東のエデン」など、クオリティーの高いアニメーションを放送してきた。4月の改編で1時間番組に拡大したことを記念し、初の生特番としてUstreamとの融合が企画された。

 「朝ダダ」は、ケツダンポトフ・そらのさんが企画してUstreamで放送されているインターネットライブ放送だ。2010年2月、評論家の田原総一郎氏と津田大介氏の司会による討論番組を放送して話題を呼んだ。第2回として企画されたのが、今回の「朝ダダ×ノイタミナ Ustream座談会」だ。

「朝ダダ×ノイタミナ Ustream座談会」は、東京・お台場のフジテレビV6スタジオを利用して放送された。参加者は、左からアニメーション監督の水島精二氏、批評家の東 浩紀氏、法学者の白田秀彰氏だ(画像クリックで拡大)

 放送のテーマは、東京都が目指す青少年健全育成条例改正で話題となった「非実在青少年」にまつわる問題で、成年マンガの表現規制に関するものだ。スケジュールは、まずUstreamによるインターネット放送を深夜1時までオンエアし、深夜1時からはテレビの地上波へと受け継ぐスタイルとなった。

 基本はスタジオでの討論だが、インターネットとの融合が積極的に図られたのが特徴だ。インターネット電話のSkypeを利用して、漫画家や漫画評論家も番組に参加。同時に、視聴者がTwitterで発したつぶやき(タイムライン)を司会と参加者に常に見せることで、視聴者の声を討論に取り入れたのも注目される。Twitterのアイコン画像で著作権の問題が発生することを防止するため、フジテレビはアイコン画像をカットしたタイムライン表示システムを今回のために作ったほどだ。

司会を務めたメディアジャーナリストの津田大介氏。後ろのモニターには、視聴者が寄せたTwitterのタイムライン(TL)が流れている。フジテレビが作った独自システムで、アイコンをカットして表示する仕組みだ(画像クリックで拡大)

ケツダンポトフ・そらの氏。今回の企画では、Skypeを利用した討論参加者との橋渡し役に徹し、いつもの「ダダ漏れ」と違って撮影はしなかった(画像クリックで拡大)

 東氏は、討論の中で「これだけ濃い議論をテレビ局のスタジオでできたことに価値がある」と述べた。「Ustreamをはじめとするインターネットライブ放送の勢いがあるなかで、『テレビとUstream』という対立軸ではなく、お互いがコラボレーションして放送できたことは画期的だ。歴史に残る放送になったと思う」とも語った。

 討論自体は成功だったものの、Ustream放送ではトラブルにも見舞われた。音声が割れて放送を中断したり、Ustreamの表示をしていた番組のWebサイトがダウンするなどのトラブルが発生したのだ。今回のUstream放送は、数多くの回数をこなしてノウハウが蓄積したケツダンポトフではなく、Ustreamに不慣れなフジテレビ側が担当していたことも理由といえよう。Twitterを取り入れたドラマ「素直になれなくて」が同時間帯に放送された不運もあり、Ustreamの同時視聴者数は最大でも4300人程度に留まった。

Skypeを調整中の津田氏(右)とそらの氏(左)(画像クリックで拡大)