持続的な企業で「ご契約者第一主義」を目指す

 第一生命が株式会社化した目的は、「持続的な成長を図るために柔軟な経営体制を敷くこと」だ。なかでも大きなメリットは、新株発行で株式市場から資本を調達できることだ。その資金で新しい事業に投資したり、財務基盤の強化を図ることができる。

 またM&A(買収)戦略においても、現金による株式の買い付けだけでなく、株式交換という選択肢も加わる。先に株式会社化した大同生命と太陽生命のように、持株会社を中心とした体制に移行することでグループ全体の経営の効率化も期待できる。

 株主という第三者が関わることで、経営の透明性が高まるのは保険契約者にとってもメリットといえるだろう。相互会社の総代会は「身内が身内を律する」ものだったが、これからは出資者である株主によって経営が厳しくチェックされる。株式上場により、会社の経営状態や将来性も、株価として如実に示されるようになる。

第一生命が06年9月に発信した「品質保証新宣言」。高い品質を契約者に長期的に提供するためには持続的な成長が不可欠で、それを実現するためには株式会社化と株式上場が必要、というのが第一生命の主張だ

 反面、生命保険を担う会社にとって、株主から絶えず利益追求が求められる株式会社という形態がそぐわないという見方もある。生命保険は顧客との関係が長く続くだけに安定経営が求められるからだ。株式上場で他社に買収されるリスクもある。日本生命や明治安田などの相互会社は、株主からの圧力を受けない利点を重視し、今のところ株式会社化する予定はない。

 日本の保険業に「相互会社」を根付かせた第一生命は、107年の時を経て自らその組織形態を廃した。創業時から掲げてきた「ご契約者第一主義」の経営理念を守りつつ、営利企業としてどのように成長を図るのか。新生・第一生命は、「顧客」と「株主」の双方が納得する難しい答えを見つけ出していくことになる。

(文/乗越政行=プラスワンデジタル)