神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で2010年3月14日まで開かれたカメラ展示会「CP+」では、各メーカーがデジタル一眼をはじめとする多数の新製品を出品。これまでにない機能や装備を搭載し、発売が待たれる製品も多かった。なかでも目を引いた新製品をピックアップし、どのような機能や装備が注目なのかを見ていこう。

富士フイルム「FinePix HS10」
高速連写を利用したユニークな機能が魅力の高倍率ズーム機

 富士フイルムがCP+開幕直前に発表した高倍率ズーム機。同社が積極的に製品を投入している「ネオ一眼」に属する製品で、レンズ交換はできないがデジタル一眼レフ並みの撮影性能を誇る。

CP+の開幕直前に富士フイルムが発表したレンズ一体型モデル「FinePix HS10」(4月17日発売予定)。デジタル一眼の低価格化で市場が縮小傾向にあるネオ一眼だが、本機はレンズや撮像素子にこだわっている点と、撮像素子の高速撮影性能を生かした独自機能を備える点で注目される。予想実売価格は5万円前後(画像クリックで拡大)

 大きな特徴が、データの高速読み出しが可能なCMOSセンサーのメリットを生かし、高速撮影と画像合成によるユニークな機能を多数盛り込んだことだ。以下のような特徴ある機能を持つ。

「動体キャッチ」
5枚の写真を連写し、動く被写体だけを1枚の写真に合成する機能。物体が規則的に運動する様子を捕らえる「ストロボ写真」と同等の撮影が簡単にできる。撮影時、できるだけカメラが動かないように構える必要があるが、三脚に据えて厳密に固定しなくてもよいとのこと。

「動体キャンセル」
5枚の写真を連写し、建物や風景などの被写体の前を横切る人を画像処理で消す機能。観光地など、人を避けて撮るのが難しいシーンで威力を発揮する。動体キャッチ機能と同様に、カメラをしっかりホールドできれば三脚に据える必要はない。

「ぐるっとパノラマ」
カメラを左右や上下に振るだけでパノラマ写真が撮影できる機能。ソニーのCyber-shotシリーズの「スイングパノラマ」とほぼ同じ。

「ハイスピード動画」
最大1000fpsのスローモーション動画が撮影できる機能。カシオ計算機の「HIGH SPEED EXILIM」シリーズとほぼ同じ。

「前後撮り連写」
シャッターを切った瞬間の1枚に加え、前後の写真を保存する機能。カシオ計算機の「HIGH SPEED EXILIM」の「パスト連写」とほぼ同じ。シャッターを半押しした時点から画像を内部メモリーに一時的に記録し続け、シャッターを切った時点で前後6枚の画像を記録する仕組み。前後のコマ数は、それぞれ0〜6コマで任意に指定できる。「自分はいつもシャッターを切るのが遅れる」と感じる場合、前のコマを増やすことでベストショットを記録できる可能性が高まる。

FinePixシリーズとしては初めて裏面照射型CMOSセンサーを搭載。データを高速に読み出せるCMOSセンサーの特徴を生かした機能が多数盛り込まれている。カメラを振るだけでパノラマ写真が撮影できる「ぐるっとパノラマ」や、最大1000fpsのハイスピードムービー動画撮影機能など、他社製品で評判の機能も意欲的に盛り込んだ(画像クリックで拡大)

 実際に機能を試してみたところ、頭の中で思い描いていたカットを難しい設定をすることなく撮影できた。これまでベストショットをあきらめていたシーンでも、理想の1枚が撮影できるようになるだろう。

動体キャンセルは、5枚の写真を連続で撮影して画像処理し、人や自動車などの動く被写体を消して背景を生かす機能だ。撮影後の画像処理に10秒ほど時間がかかるが、写り込んでいたはずの人物が見事に消える。観光地など、通りかかる人を避けられないシーンで有効だ(画像クリックで拡大)

動体キャンセル機能の撮影時の画面。下の方では、人物を模した模型が左右に絶えず動き回っており、通常撮影ではどうやっても写り込んでしまう(画像クリックで拡大)

動体キャンセル機能を有効にすると、人物が消えて背景の景色だけがしっかり写し撮れた。ある程度カメラをしっかり構えていれば、三脚いらずで撮影できるのも実用的だ(画像クリックで拡大)

同等の機能は他社製品にもあるが、本機は設定で「1秒あたりの撮影コマ数」と「シャッターを切る前後の撮影比率」を自由に設定できるのが特徴だ(画像クリックで拡大)

 高速撮影以外にも見どころが多い。レンズは光学30倍ズームで、35mm判換算で24〜720mmをカバーする。これほどの広いレンジをレンズ交換の手間なく撮影できるのは、各社のデジタル一眼でも不可能な魅力だ。ズーミングは電動式ではなく手動式なので、狙った画角に素早く調整できる。

レンズは光学30倍ズームで、35mm判換算で24〜720mmを広くカバーする。ネオ一眼で一般的なモーター式電子ズームではなく、一般的なデジタル一眼と同じ手動ズームを採用し、迅速にズーミングできる(画像クリックで拡大)

液晶モニターは上下に向きが変えられる3型を採用。解像度は23万ドットと標準的だ。撮影設定を変えるダイヤルは、モードダイヤルの右横に配置されている。位置や回転の固さは絶妙で、とても操作しやすい(画像クリックで拡大)

レンズのカットモデル。24mmの広角域から720mmの超望遠域までをレンズ交換の必要なくカバーできる点と、実売価格が5万円前後と安い点は、デジタル一眼にはない魅力だ(画像クリックで拡大)