「原状回復費用」を払いすぎている?

 今はまさに春の引っ越しシーズン。新居での生活を楽しみにしている人も多いはず。しかし、その前にしっかり取り戻しておきたいのが、旧居で家主(管理会社)に預けた敷金。実は本来払わなくてもいい費用を払っているケースが多いのだ。

 そのうちの1つが、原状回復の費用。これは、「借主の故意や過失によって生じた損傷などを修復する費用」のことで、「入居時の状態まで回復する費用」という意味ではない。クロスの汚れやフローリングの損耗など、通常に使用した場合の経年変化による損耗については、借主は負担する必要はないのだ。

 こうした知識が徐々に浸透してきたからか、敷金から差し引く費用の見積もりに「おかしい!」と異議を唱える人も増えている。東京都庁にある「賃貸ホットライン」では、全相談件数1万7328件(平成20年度実績)のうち4796件と最も多いのが退去時の敷金(原状回復)に関するもの。それも、2月~4月に集中するという。「敷金に関する相談が最も多いのも、毎年約5000件弱の相談があるのもここ数年同じです。『家主(管理会社)が敷金をなかなか返してくれない』『原状回復費用の見積もりが高い』といった相談が中心です」(賃貸ホットラインを統括する東京都都市整備局・住宅政策推進部の渡邊誠氏)。

 借主の負担すべき費用が一目で分かる資料として、東京都・都市整備局発行のリーフレットと小冊子がある。東京都は平成16年に全国初の「賃貸住宅紛争防止条例」(以下、紛争防止条例)を施行。イラスト入りで原状回復費用の貸主・借主の負担区分、入居中の修繕費用の負担区分など、平成10年に国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下、ガイドライン)をより分かりやすく解説している。これらを入手して正しい知識を得ることが、公平な敷金返還のための第一歩だ。

東京都発行の「紛争防止条例」リーフレット(無料)と「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」の小冊子(290円、都庁内の三省堂ほか大手書店で発売中)。この2つはウェブサイトからもダウンロードできる(画像クリックで拡大)