発売中の日経トレンディ3月号特集「究極の激安バトル」では、家電や旅行などさまざまな分野で目に付く「激安商品」の実力を徹底チェックしている。なかでも、最近とみに低価格化が目立つのが「居酒屋」だ。

 ビールもハイボールも、食べ物もすべて税込み250円――。今年4月、そんな激安居酒屋が都内にオープンする。運営するのは居酒屋チェーン大手のワタミだ。

 「低価格競争に終止符を打ちたい。そのために、他社が追随できない業界最安値の店を出す」

 ワタミの桑原豊社長は出店の狙いをこう話す。

居酒屋の“ファストフード化”で激安価格を実現

 均一価格を売りにした格安居酒屋が急速に勢力を拡大している。「白木屋」「笑笑」などを運営する業界最大手のモンテローザは、看板や内装はそのままで、約150店舗を284~315円の均一価格店に変えた。「東方見聞録」「月の雫」などを運営する三光マーケティングフーズは、09年5月に均一価格の1号店を出してから、わずか半年あまりで約80店を「金の蔵Jr.」などの均一価格店に。同社ではもはや運営する店舗の半数以上が均一価格の格安店になっている。

 もともと値ごろ感が売りだったワタミも、既存店では飲食代の半額分を金券で返すキャンペーンなどを展開してきた。だが、こうした低価格への流れには抗しきれなかった。

三光マーケティングフーズは破竹の勢いで均一価格居酒屋「金の蔵Jr.」を出店している(画像クリックで拡大)

20年以上の歴史を持つ均一価格居酒屋チェーンの草分け「鳥貴族」(画像クリックで拡大)

 ただ、ワタミの桑原社長は「今展開している『和民』や『わたみん家』を、そのまま均一価格に切り替えるのでは利益が出ない。まったく新しい業態を作る」と強調する。

 ワタミがターゲットとするのは、会社帰りなどに1時間程度立ち寄る「チョイ飲み」需要。新店舗は居酒屋の“ファストフード”版というイメージになるという。

 具体的な内容はまだ明らかにされていないが、メニューを40品ほどに絞込み、セントラルキッチンを活用することで店舗での調理を減らすと見られる。店員の接客も、既存の店と比べるとだいぶ省略され、セルフサービスに近くなる可能性もありそうだ。

 「初期投資と店舗運営コストを抑え、客の回転を高める」。ワタミに限らず、格安居酒屋を運営する各社は、そう口をそろえる。薄利多売のビジネスモデル、というわけだ。「正直言って、収益は二の次。とにかく来店してもらいたい」(三光マーケティングフーズの平林隆広専務)という声もある。

セルフサービスを導入する低価格店は、個店レベルではすでにある(画像クリックで拡大)

 しかし、「収益が第一ではない」というものの、巷に氾濫する“300円居酒屋”は本当に得なのか。