09年12月、PSP向けのマンガ配信サービスがスタートした。作品を提供するのは集英社、講談社、小学館、角川書店といった大手を含む出版11社。配信ビジネスで主要コンテンツホルダーの足並みがここまでそろうのは珍しい。特に集英社は「ワンピース」「NARUTO」など、「週刊少年ジャンプ」で連載中の主軸作品も投入。モノクロのオリジナル作品を着色し、フルカラー化して配信する力の入れようだ。

 だが、このニュースは序章にすぎない。ケータイ向けのアダルト作品が中心だったマンガ配信は、2010年、閲覧性・携行性を重視した小型端末向けのメジャー作品がメインになる。以降、その流れは書籍や雑誌、新聞へと波及し、電子ブックがついにブレイクを果たす。

 実は今、ネットには勝手にスキャンされた違法マンガがあふれ、そのデータをダウンロードし、PSPやiPhoneで読む行為が横行している。iTunesが登場する前夜、違法MP3がはびこったのと同様の状態だ。

 こうした違法サイトは、「いたちごっこで、つぶしても次から次へと出てくる」(講談社コミック販売局コミックマーケティング部の濱崎峰夫部長)。対抗策は「よりクオリティが高く、付加価値のある作品データを自分たちで配信する」(集英社ライツ事業部の田代豊部次長)しかない。その結果、マンガの配信ラインアップは急速に充実していくはずだ。

あらゆる小型端末に膨大な“活字”がなだれ込む

出版社・新聞社が配信を本格化
電子ブック市場がついに離陸へ

 業績不振にあえぐ出版社や新聞社の多くは配信に光明を見いだそうとしているため、電子化されるコンテンツは増える。閲覧性・携行性・使い勝手を兼ね備えたハードが増え、3GやWi-Fiの拡大でダウンロード環境も整った。コンテンツ、ハード、インフラの足並みがそろわず、一般には浸透しなかった電子ブックがついに離陸する。

 

ソニーもパナソニックもかつて撤退
不発の連続だった電子ブックの歴史

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 ソニーの「LIBRlé」、松下電器産業(当時)の「ΣBook」「Words Gear」――過去にも数々の電子ブック端末が華々しく登場したが、使い勝手やコンテンツの不足、価格の高さが普及を阻み、いずれも撤退を余儀なくされた。ただし、「LIBRlé」はアマゾンの「キンドル」(次ページ)に影響を与えたとされる。