2009年秋、各社からインクジェット複合機の新製品が発売された。売れ筋モデルにも無線LAN機能が搭載されて使い勝手が向上したが、以前のモデルと比べて小幅な改良にとどまり、どこか物足りない印象を受けたのも事実だ。これまでのプリンターの進化ポイントだった画質や印刷速度は、ほぼ完成の域に達した感がある。今度、それらに飛躍的な向上を望むのは難しい。
だが「プリンターはもう進化しないの?」と思うのは早計だ。米ヒューレット・パッカード(HP)が2009年秋に海外で販売を開始した複合機は、インターネット接続を前提とした便利な機能を多数搭載。プリンターの常識を変える1台に仕上がっている。
日本ヒューレット・パッカードの担当者に、“次世代”のプリンターともいえる製品が秘めた機能や魅力、今後の国内での展開について話を聞いた。
iPhoneとプリンターが合体したような便利な機能に驚き!
今回の主題となるプリンターは「HP Photosmart Premium with TouchSmart Web」。米国では2009年6月に発表され、10月から販売が始まっている。本体前面に4.33型ワイドの大型タッチパネル液晶を搭載しているのと、有線LANか無線LANでネットワークに接続できるのが特徴。スペックだけを見れば、国内でも販売されている「HP Photosmart Premium C309G」と変わりないように見えるが、インターネットとの連携機能が大幅に拡充されている。
インターネットとの連携で多彩な機能が利用できるインクジェット複合機「HP Photosmart Premium with TouchSmart Web」。電源以外のボタンを省き、すべてタッチパネル液晶で操作するのが特徴。米国ではすでに発売済みだが、日本には投入されていない。米国では399.99ドル(約3万6000円)で販売されている
日本ヒューレット・パッカードの峰岸裕司氏は「現在のプリンターはパソコンで作ったり表示したコンテンツをプリントする役目が中心だ。だが、インターネットのコンテンツはパソコンのWebブラウザーで表示するのに最適化されており、プリントするのには向いていない」と指摘。「レイアウトを最適化するユーティリティーを使うとうまく印刷できるが、余計な手間が加わるのですべての人が使いこなせるとは限らない」とした。
「それならば、プリンターみずからインターネットにデータを取りに行かせればよいのでは」という発想から生まれたのがHP Photosmart Premium with TouchSmart Webだという。
グラフィカルなアイコンが並ぶメニューをタッチするだけで、USA Todayの新聞記事やグーグルマップの地図などが簡単にプリントできる。米国内のスーパーや量販店で使える割引クーポンを表示させ、必要なものをその場でプリントする機能も持つ。サードパーティーが提供する新たなコンテンツを追加することも可能で、使い道はどんどん広がる。
メインメニューの画面。下に並んでいる「Photo」や「Copy」などは複合機で一般的な機能だ。その上に並んでいるのがインターネットと連携してコンテンツを入手できる独自機能だ。画面では5つのアイコンが並んでいるが、実際はもっと多くの機能をスクロールさせて呼び出せる
メニュー画面にある「Get More」のアイコンをタップすると、新たなコンテンツをインターネット経由で追加できる。コンテンツは随時追加されている。iPhoneでいうApp Storeのようなイメージだ
いずれのコンテンツも、レイアウトはプリンター用に最適化されている。パソコンからのプリントとは違って面倒な設定は必要なく、ムダな余白やはみ出しなくプリントできる。
画面を見ながらの直感的なタッチ操作で扱えることや、インターネット経由で魅力的なコンテンツが入手できる点を考えると、まるでiPhoneとプリンターが組み合わさったような感覚を受けた。











