“ウイルス激減”の実験結果は、鵜呑みにできない

 こうした技術は、実際にウイルスをどれだけ抑制できるのか。多くのメーカーの実証実験を手がける北里環境科学センターによると「これらの技術は、実験室では効果が証明済み。だが実環境では、実験結果そのままの効果があるとは考えにくい」という。

 理由はいくつかある。まず各メーカーの実験を行う環境は、かなり特殊なものだ。例えば実環境に浮遊するウイルスは空気10L中にせいぜい10個程度とみられる。だが実験では効果を正確に測定するため、10L当たり約100万個という高濃度にするのが一般的だ。各社の製品パンフレットに載っている実験は、実際の部屋とは大きく異なる条件で行っていると思ったほうがいい。

 こうした実験では「ウイルスや菌の数が100分の1から1000分の1程度まで減ると、効果があると見なせる」(北里環境科学センター)。そのため試験機関では、ウイルスの数が「10の何乗」残っているかを示したデータを、実験結果として提示する(下参照)。一方で各社の製品パンフレットは、この実験データを「残存率」などパーセント表示に置き換えてグラフ化することが多い。その結果、実験で個数がさほど減っていないときでも、パーセント表示されたグラフは急角度で落ち込み、効き目が大きいように見えてしまう。

 さらに各社技術の実験では、ウイルスや菌の作用を99%以上抑制するのに数十分~数時間かかることがある。だがこれよりも、空気清浄機が空気を吸い込んでフィルターでこし取るほうが、ウイルスや菌を素早く抑制できる可能性は高い。空気清浄機の性能には各社の独自技術より、フィルターが寄与する部分が大きいとみられている。

各社のウイルス抑制技術の
効果はかなり限定的とみられる

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実験環境は現実とは大きく異なっている

 例えば浮遊ウイルスの実験は、普通の部屋の数十分の1の小さな空間(1㎥)に、実環境の何万倍の個数のウイルスを浮遊させて行うことが多い。「この実験結果が、実際の部屋でもそのまま通用するとは考えにくい」と専門家は言う。

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そもそもフィルターのほうが即効性がある可能性が高い

 浮遊ウイルスの場合、各社技術がウイルスに作用するよりも速く、空気清浄機が空気を吸い込んでフィルターでこし取ってしまう可能性のほうが高い。

●グラフの「書き方」で効果が大きく見える部分も

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