韓国で“奇跡の映画”と言われるドキュメンタリー映画『牛の鈴音』が日本で12月19日に公開される。韓国では2009年1月にわずか7館で封切られると、クチコミによって観客が押し寄せ、その後全国150館に拡大。公開37日目に観客動員が100万人を突破し、その9日後には一気に200万人を超えた。8月時点の動員数は295万人で、これを単純に日本の人口規模に換算すると780万人以上になるという。日本でいえば『踊る大走査線THE MOVIE』を超えるレベルで、いかに『牛の鈴音』がヒットしたかの目安になるだろう。

 『牛の鈴音』の内容は韓国の農村で暮らす老夫婦と年老いた農耕牛の日常を描いたものだ。ナレーションもなく大きな事件も起こらない。もちろん“韓流スター”が出演しているわけではない。この内容で、この観客を動員したことが奇跡なのだ。映画がヒットしたことで老夫婦が暮す村に観光客が訪れるようになり、村には「牛の鈴音記念館」まで作られたという。

 実際の映像は、老夫婦の姿が韓国の農村の四季に合わせて描かれていく。最初はお爺さんが必死に農作業をこなしており、「そこまでして働かなくても…」という印象だが、段々とそれがこのお爺さんにとっての日常であることが理解できる。また、お婆さんは、いつもお爺さんにひどい言葉を投げかけているのだが、これもストーリーが進むにつれて、長い間連れ添った者同士のコミュニケーションのスタイルであり、決して憎しみから出ているのではないということも分かってくる。観客がそんな安心感に浸り、農村の風景に目を奪われたかけたころ、今度は年老いた農耕牛の死が迫ってくる――。

『牛の鈴音』
原題:ウォナンソリ(牛鈴の音)/英語題:Old Partner/監督・脚本・編集:イ・チュンニョル/製作:スタジオ・ヌリンボ/プロデューサー:コー・ヨンジェ/配給:スターサンズ・シグロ/12月19日(土)よりシネマライズ、銀座シネパトス、新宿バルト9ほか全国ロードショー/公式サイト:http://www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/
【あらすじ】79歳になる農夫のチェ爺さんには、30年間共に働いてきた牛がいる。牛の寿命は通常なら15年ほどだが、この牛は40年も生きている。頑固なお爺さんは、耕作機械を使わずに牛と働く。牛が草を食べるので畑に農薬もまかない。そんなお爺さんにお婆さんは不平不満が尽きない。しかし、ある日、かかりつけの獣医が「この牛は今年の冬を越すことはできないだろう」と告げる
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