2008年6月に発売された「WILLCOM 03」から1年半の沈黙を破って発表されたウィルコムのスマートフォン「HYBRID W-ZERO3」。初代W-ZERO3から受け継がれてきたQWERTYキーを廃し、PHSだけでなくWILLCOM CORE 3Gによる高速データ通信機能を備えるなど、外面・内面共に大きく変化している。

 なぜこれほどまで大きな変化を遂げたスマートフォンが誕生したのか。その企画・開発の経緯について、ウィルコムのデータ通信企画室室長である須永康弘氏に話を聞いた。(聞き手/佐野 正弘、memn0ck、島 徹 文/佐野 正弘)

QWERTYキーの省略はiPhoneの影響?

HYBRID W-ZERO3をはじめW-ZERO3シリーズの開発を手がけているウィルコムの須永氏(画像クリックで拡大)

――「HYBRID W-ZERO3」の開発はいつ頃から進められたのですか?

須永氏:企画が進められたのは、WILLCOM 03の開発が完了した直後なので、1年半くらい前になります。

 前機種の「WILLCOM 03」では、女性層を取り込むべくコンパクト化を追求しました。結果として女性層を取り込むことには成功したのですが、スマートフォンのコアターゲットである20〜40代の男性層が離れてしまいました。そこでもう一度原点に立ち返るべく、最も販売数が多かった「Advanced W-ZERO3[es]」のコンセプトをベースに、企画を進めたのが「HYBRID W-ZERO3」になります。

――WILLCOM 03と比べ、落ち着いたデザインになっていますね。

須永氏:ターゲット層を考慮したカラーを採用し、外面もヘアライン加工や蒸着技術などを取り入れています。従来であれば高額だからとNGが出ていたものですが、今回は3Gによるデータ通信機能を搭載していることもあり、安っぽさを感じさせないものにしたかったという思いがあって、こうした加工を取り入れました。

――外観面では、QWERTYキーボードが省かれ、ダイヤルキーのみとなっているのが、最も大きな変化といえますね。なぜこのような形になったのですか?

須永氏:1つには、サイズの問題があります。ダイヤルキーとQWERTYキーを両立する形として、Advanced W-ZERO3[es]のブラッシュアップという方向性を考えていたのですが、物理的な厚さがどうしても解消できず、サイズ的に大きくならざるを得ませんでした。

 サイズ感を重視するというWILLCOM 03の方向性は間違っていないと感じており、どちらか1本に絞り込んでコンパクト化する必要があると判断したのです。

 そしてもう1つ、iPhoneの影響があります。iPhoneの登場以降、キー入力が不要で、縦画面のまま、タッチ操作だけで利用できるコンテンツやインターフェースが増えています。

 フルキーを搭載するメリットは、主にメール入力がしやすくなること、WebブラウザのURL入力がしやすくなることの2点なのですが、iPhoneの登場以降、Webサイトも縦画面、かつキー操作を減らす方向に進んでいることから、今後、後者のメリットは薄くなっていくのではないかと考えました。

 アンケートなどで調査をしても、「スマートフォンにはフルキーボードが必要」と答えるユーザーが圧倒的に多いのは事実です。ですが、スマートフォンのマーケットを拡大すべく、新しい市場に期待をかけたいと考え、今回はあえて、日本人に馴染んでいるダイヤルキー1本に絞り込むというチャレンジをしてみたのです。

QWERTYキーを廃し、ダイヤルキーのみという大幅な転換を図り、より携帯電話に近くなっている(画像クリックで拡大)

Advanced W-ZERO3[es]に搭載されていた「Xcrawl」が復活。カーソルキー部分をくるくる回すことで、カーソル移動やスクロールができる(画像クリックで拡大)

歴代のW-ZERO3シリーズと並べてみたところ。W-SIMだけでなく3Gも搭載しながら、最も小型となるWILLCOM 03と比べても大きさはそれほど変わらない(画像クリックで拡大)