ソニーが2009年10月21日に発売した「PCM-M10」は、音楽CDを超える高音質なリニアPCM録音が可能なICレコーダーだ。「M10」の「M」は「ミュージック」を意味しており、同社としてはアマチュアミュージシャンのスタジオセッションや、ピアノなどの生演奏などを録音できる高音質な録音機器としての用途を狙っているという。

 ICレコーダーの主要な用途として挙げられるのは、「会議の議事録作成」や「習い事の備忘録」などだろう。だが数千円前後のモデルを購入してから、音質の悪さやパソコンとの連携機能がないことに気が付いたり、内蔵メモリーが少ないため肝心なときに容量がいっぱいになってしまったりと、使い勝手の悪さに気付くこともある。仕事で使うのであれば、確実にいい音質で録音できる機器が欲しいところだ。

 そこで注目したいのが、先日発売されたばかりのPCM-M10だ。1970年代の“生録ブーム”を生み出したと言われる「デンスケシリーズ」の流れをくむ最新モデルながら、初代「デジタルデンスケ(PCM-D1)」(2005年11月発売当時の実売価格は20万円前後だった)に比べて大幅に軽量コンパクトになり、しかも3万円を切る実売価格を実現したモデル。趣味性の高かった従来機種に比べて使い勝手を向上したPCM-M10の“仕事に使える度”を探ってみた。

ソニーが2009年10月21日に発売したリニアPCMレコーダー「PCM-M1」。実売価格は3万円前後。カラーはブラックとレッドをラインアップする(画像クリックで拡大)

コンパクトで手軽に高音質録音が可能な「PCM-M10」

 デザインはPCM-D1/D50の流れをくんでおり、ブラックモデルはまさに“ミニ・デジタルデンスケ”といった印象を与える。だが、手に持つとひんやりとした冷たさとザラザラとした質感が高級感を醸し出す「PCM-D1/D50」とは違い、コンシューマー機らしいグロッシーな表面処理だ。指紋が付きやすいのはマイナス面ではあるものの、従来機とは違って丸みを帯びたフォルムになっており、かわいらしさも感じさせる。レッドのカラーバリエーションなら、女性のバッグから取り出されても違和感がない。

 録音機能としては、シリーズで初めてオートレベル調整が搭載されたのが大きな特徴だ。従来機では録音対象に合わせて録音レベルをマニュアル調整しなければならなかったのだが、PCM-M10はマニュアルとオートのどちらにも対応している。

ボタンや液晶表示、メニューを日本語にし、初心者でも使いやすくした(画像クリックで拡大)

背面には感度設定スイッチやDPC(速度調節機能)、録音レベル設定などのスイッチのほか、三脚取り付け穴を備えている(画像クリックで拡大)

 内蔵マイクはエレクトレットコンデンサーマイクロホン(ステレオ/全指向性)で、録音方式はリニアPCM(WAV形式、96/48/44.1kHz 24/16ビット、22.05kHz 16ビット)のほかMP3形式(44.1kHz 320/128/64kbps)に対応する。従来機ではリニアPCMにしか対応していなかったが、新たにMP3にも対応したため、録音対象に合わせてよりフレキシブルに対応できるようになったのはうれしい。

本体上部にステレオマイクを内蔵するほか、ライン入力端子とマイク入力端子を備える(画像クリックで拡大)

左側面にはライン出力・ヘッドホン兼用端子、ミニUSB端子、M2/マイクロSDカードスロット、ACアダプター端子を備える(画像クリックで拡大)