ゲームの歴史と共に歩み、今年で19回目を迎える東京ゲームショウ。昨年までと比べて違いはあったのだろうか。

 ゲーム業界が一番盛り上がり、ショウにテレビレポーターが殺到するのは、新しいゲームハードが発売になるときだ。5年ごとに新機能を満載したゲーム機が発売になっていたのも昔の話。性能アップによる映像美は行きつくところまでたどり着いた。小型化や価格改定などのマイナーチェンジはあるものの、もうすぐ発売から5年を迎えようとしているPSPや、4年が経過しようとしているXbox 360なども、次のハードのアナウンスは聞こえてこない。

 では、東京ゲームショウが盛り上がっていないのかといえば、全くそんなことはない。会場はうれしそうに歩く友達連れや、笑顔の親子連れでいっぱいだ。

 彼らを笑顔にさせていたのは何なのか? それは、ユーザーがゲームを体験するための圧倒的なタイトル数と台数の豊富な試遊台と、美しいムービーや流す巨大なスクリーンだ。

 今年の東京ゲームショウでは、本年米国のゲームイベント「E3」で発表された体を動かしてゲームを楽しむ新周辺機器、PS3用の「Motion Controller」とXbox 360用「Project Natal」が日本で初お披露目の場となったため、ゲーム専門サイトなどではそうした報道が多いようだが、実際に東京ゲームショウに来場しているユーザーの興味を引いたのはそこだけではなかったようだ。

 特に「充実が急務」と言われ続けていた、次世代ゲーム機のラインアップは昨年までとは大きく違う。先日プレイステーション3を2万9980円に価格改定したばかりの、SCEブースではハード発売前から発表され、待望されていた今年12月17日発売の『ファイナルファンタジーXIII』と10年3月発売の『グランツーリスモ5』を体験しようという人であふれかえっている。

 プレイステーションは、初代、2代目とも『ファイナルファンタジー』と『グランツーリスモ』シリーズが本体を引っ張ってきた。会場の熱気を見ると、いよいよプレイステーション3の普及が一気に進むのではと感じさせられる。

 また、その2本だけではなく他社のプレイステーション3向けタイトルが、多数並んでいたことも昨年までとは大きく違う。

『ファイナルファンタジーXIII』を目指して来場者が集まる(画像クリックで拡大)

『グランツーリスモ5』はレアな実車を展示し注目を集める(画像クリックで拡大)

各社のプレイステーション3向けタイトルが勢ぞろい(画像クリックで拡大)

 ライバルのXbox 360を発売するマイクロソフトのブースも活気づいていた。9月上旬の発表会での「今後1年間で100本のパッケージゲームをリリースする」というアナウンスを裏付けるかのような、タイトル数、台数ともに豊富な試遊台は圧巻だ。

 一般的にはコアゲームファンに人気が高いというイメージの強いXbox 360だが、カップルや親子連れが楽しそうに遊んでいる姿を目にすると、ゲームを「体験する場」の必要性を再認識する。

 そして、ゲームを試遊するためにはどうしても列に並ぶことが必要になるが、待ち時間に行列の誰もが視線を向けているのが、美しいムービーや、楽しそうなゲームデモを流す巨大なスクリーンだ。ブースで紹介されている目玉タイトルのダイジェストを、テンポよく紹介するムービーは来場者が望んでいる情報が満載されているといえるだろう。

 来場者の多くの目的は「この年末年始、どのゲームで楽しもうかと情報収集に来た」ことだろう。今年の東京ゲームショウは、遊び切れないほどの試遊台と、各メーカーのラインアップが10分程度で分かる美麗なムービーによって、次はどのゲームを購入しようかと楽しい悩みを抱えている来場者にとって、実りの多いイベントだったのではないだろうか。

マイクロソフトブースは巨大スクリーンに目を止め、その後、気になったタイトルの試遊の列に並ぶ来場者が多かった(画像クリックで拡大)

今年のゲームショウを支えた巨大スクリーン。入場するとすぐ、正面にコーエーテクモホールディングス、左にカプコンのスクリーンが目に入る(画像クリックで拡大)

(文/伊藤哲郎=日経エンタテインメント!)