2004年に誕生したニンテンドーDSとPSP――。携帯型ゲーム市場は、長らくこの2製品による独占状態が続いており、他社が参入する余地はほとんどないかに見えた。しかし、2008年7月、この市場に突如、期待の新星が現れた。その新星とは、iPhoneだ。ゲーム業界のほとんど誰もが注目も期待もしていなかったにもかかわらず、わずか1年間にタイトル数で4年先輩のライバルたちに、一気に3倍以上の差をつけてしまった。

 米アップルは2009年9月9日、iPhoneアプリの総数が7万5000本に達したと発表。中でも、米comScore社が行ったゲーム・エンターテインメントタイトル数の調査では、iPhone用のゲーム・エンターテインメントのタイトル数は2万1178本に達した。iPhoneアプリのゲーム・エンターテインメント系アプリにはジョークアプリなども入っているが、ゲームだけでも1万本以上はある見込みだ。一方、ニンテンドーDSは3680本、PSPは607本だった。

iPhoneのゲーム/エンターテインメント系アプリは2万を超えた(画像クリックで拡大)

 なぜiPhoneはゲーム機として大きく飛躍したのだろうか。そのポイントは5つある。では、それらを一つずつひも解いていこう。

5000万台77カ国展開の市場規模

 1つめのポイントは、iPhoneがゲームメーカーにとって魅力的な市場を提供していることだ。

 iPhoneの累計出荷台数は全世界で3000万台。iPhone用ゲームのほとんどが動くiPod touchの2000万台と合わせると、実に5000万台規模のプラットフォームになっている。これは5年間かけて約5000万台強に増えたPSPや、1億台に到達したニンテンドーDSと比べても決して悪くない数字だ。

 ゲームなどのiPhone向けアプリを販売するサイト「App Store」の米国版で売り上げ1位を獲得すれば、有料アプリケーションでも1日で最低1万本、ピーク時には3万~4万本のペースで売れる。個人でも、1カ月で5000万円ほどを売り上げた“iPhone長者”も大勢誕生している。

 また、iPhoneアプリの販売国数が81カ国と非常に多く、まもなくここに巨大な中国市場が加わる点も無視できない(実際にゲームを含むアプリを購入できる国は77カ国)。日本や欧米では既に人気がなくなってしまったゲームでも、発展途上国ではこれからヒットする希望がある。