ゲーム産業関係者たちが集まるCEDECでは、ふつうのゲームイベントではめったに表に出てこない、いろいろな職種の話を聞けることがある。9月2日に開催されたセッション「ゲームチューニングってなんだろう?」も、そんな場の一つだ。
講演したのは、猿楽庁の橋本徹氏。かつて任天堂の品質管理部・スーパーマリオクラブでデバッグなどを担当し、今では猿楽庁で、年間100〜150タイトルのゲームソフトのチューニング(バランス調整などを施し、ゲームを面白いものに磨き上げていく作業のこと)を行う、ゲームチューニングの第一人者である。
橋本氏いわく、チューニングに必要なのは、第一に「ポジショニング」。つまり「ユーザーの立場に立ってゲームを見ることだ」と橋本市は語った。言葉にすると簡単だが、たとえば幼児向けのゲームであれば「幼児の視点に立つ」必要があるため、かなり難しいとのことだ。その上で、どこをどう修整すれば品質が上がるのか、「チューニングのセンス」を磨くことが大事。なおかつ問題点を開発者に指摘してもトラブルを起こさないための「人間関係」の構築が、この仕事のポイントだと、きわめて実践的な話を披露した。
ゲームチューニングには際限がない。たとえばソフトが発売される時期に「どんなものが流行りそうなのか?」を知るためのアンテナの高さも必要とのこと。なぜなら、それを理解しておくと、ゲームソフトに「こんな要素を足しておくといい」といった発想が生まれ、それがゲームの質を上げることにつながるのだという。「こうしたら面白くなるよね」と提案することも、もちろんチューニングの一つの側面なのだ。
橋本氏が語るチューニングとは、ただソフトをデバッグしたり、難易度を調整したりするだけではない。開発者以外の視点から見たとき、ゲームソフトを面白いものにし、ハイクオリティーにするための、あらゆる要素が含まれる。この60分は、そのための具体的な発想法などが紹介され、多くの注目を集めるセッションとなった。
チューニングについて説明する橋本氏。その経歴を知ると、さまざまなソフトに橋本氏が関わっていることを知り、多くのユーザーがびっくりするだろう。ちなみに、スクリーンに表示されているのは、橋本氏が任天堂時代に近くで見ていて、「チューニングとは何かを学んだソフト」とのこと
※CEDECは日本最大のゲーム開発者向けカンファレンス。9月1〜3日までの3日間パシフィコ横浜・会議センターで開催された。参照記事:最先端ゲーム開発の現場がわかる! 「CEDEC 2009」が横浜で開幕











