木村拓哉主演の『MR.BRAIN』のように変則的なスケジュールでまだ放送中の作品も残っているが、ほとんどの春ドラマは終了し、現在は夏ドラマがスタートしている。テレビ誌でドラマ評を担当してきた萩原まみさんに、春ドラマの総括をお願いした。

急浮上した『アイシテル』と『臨場』の2位争いの行方は…

 天海祐希主演の刑事ドラマ『BOSS』(フジテレビ系)が最終回視聴率20.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ。以下、同)で終了した。最後に20%超えを果たしたものの、平均は17.14%。途中、同週放送分の視聴率で比較すると『MR.BRAIN』を抜いた回もあったが、7話終了時点で平均視聴率20.44%の『MR.BRAIN』を破ることはできないとみてよさそうだ。

 『BOSS』は最後まで、エンタテインメント要素を散りばめつつ、ボスの大澤絵里子(天海祐希)以下の活躍をきっちり描き、引っ張り続けていた大澤と恋人(丸山智己)との関係にもちゃんとオチをつけた。刑事としての成長著しかった木元(戸田恵梨香)、過去のトラウマを克服した片桐(玉山鉄二)ほか、チームの人物造形がしっかりしているので、今後、スペシャルや続編も期待できそうだ。

 既に終了している春ドラマだけを比較してみると、第2位には急激に数字を伸ばした『アイシテル〜海容〜』(日本テレビ系)が入った。少年が少年を殺すという重いテーマに真っ正面から取り組んだ作品で、初回13.2%からスタートし、最終回は18.6%までアップ。平均すると14.82%だった。衝撃的な内容ながら、興味本位に煽ることなく、ブレずに丁寧に描いていったところが、視聴者の興味と静かな共感を誘ったのだろう。

 中盤までリードしていた内野聖陽主演の警察モノ『臨場』(テレビ朝日系)は初回14.1%、最終回15.3%で、平均14.48%と第3位。こちらも派手さはなかったものの、登場人物の心理や事件捜査の内容をしっかりと描いており、すでにシリーズ化された作品のような安定感だった。

 以下、阿部寛主演の『白い春』が平均12.60%、櫻井翔と横山裕が熱演を見せた『ザ・クイズショウ』が12.08%と続く。

 こうして結果を見てみると、今回は視聴率とドラマの出来栄えがおおむね釣り合っているように思える。テイストはバラバラで、好き嫌いが分かれそうな作品もあるが、どれも大作ではなくとも、見応えがあった。

 キムタク主演作ということで別格扱いの『MR.BRAIN』も、脳科学を応用した謎解き部分が子供向けなわりに演出が残虐だとか、木村拓哉の若作りがイタいなど、ツッコミどころは多いが、セットもゲストも豪華。予算のかかった力作であることは間違いない。