2011年7月のアナログ放送停波に向けて各家電メーカーがさまざまな新製品を投入し、薄型テレビ市場が活況を呈している。ブラウン管から薄型テレビへの移行がスタートした当初は「液晶 vs. プラズマ」という図式で語られることも多かったが、現在は約9:1と液晶が大幅な市場シェアを占めている状況だ。
動画応答性やコントラストといった液晶テレビの画質面での課題も、「倍速駆動」や「部分駆動LEDバックライト」などといった新技術を搭載することで大幅に改善されてきている。こうした画質革新に向けた各社の取り組みや技術トレンド、今後期待される方向性について、デジタル・メディア評論家の麻倉怜士氏に聞いた。
急速に画質向上を遂げている液晶テレビ
──2011年7月アナログ放送終了に向け、薄型テレビへの注目が高まっています。各メーカーも半期に一度のペースで新製品を発売していますが、そのたびに画質や使い勝手を向上させる新たな機能を搭載しています。特に液晶テレビは「倍速駆動」や「部分駆動LEDバックライト」などを採用することで画質を大きく向上させているように思えますが、いかがでしょうか。
麻倉 僕はよく言っているのですが、映像には進化の過程があります。最初は(映像を)ちゃんと見せる。つまり「正確な表示」です。次の段階では、映像のコンテンツにあるディレクターズインテンション(監督、演出家の意図)を「表現」しなければなりません。「黒が浮く」とか「ノイズが多い」といった「表示」の問題をクリアした上で、「表現」のレベルにまで行かなければなりません。
そういった観点から見ると、液晶テレビは各社のさまざまな取り組みの中で“表示”の問題に有効に対策を施し、“表現”のレベルにかかってきたという感じがしています。
──具体的にはどのような点において進化しているのでしょうか。
麻倉 液晶テレビは「視野角が狭い」「動画再現に弱い」「コントラストが低い」という3つの問題がありました。
まずは「視野角」ですが、従来からのVA方式のパネルは視野角が狭い。そこでもっと斜めからも見えるようにと日立製作所がIPSパネルを作り(1995年に発表し、1996年に実用化)、その後LG電子なども作り始めています。この春に発売された東芝「REGZA 8000シリーズ」ではIPSパネルを使っているモデルが多いですね。











