駅構内の商業施設“エキナカ”に大きな変化が起きている。

 「エキタマ」「T-tee ecute(ティーティーエキュート)」「ecute cutte(エキュート キュット)」「Echika fit(エチカフィット)」―。「グランスタ」や「エキュート」のような大規模な施設ではなく、キオスクや立ち食いそばといった従来の単店舗とも異なる、新しいタイプの施設が増えているのだ。

 その特徴は、いずれも1店舗〜数店舗のコンパクト業態で、エキナカの新ブランドとして明確な方向性をもっていることだ。今、コンパクト業態が増える理由は何か。

JR田町駅に出現した超個性派店舗
“直営”で独自性を模索する「エキタマ」

 「エキタマ」は、エキュートを展開しているJR東日本ステーションリテイリングが、昨年3月に立ち上げたコンパクトショップ。JR田町駅構内に2店舗を出店している。エキュートが大宮73店舗、品川46店舗、立川92店舗といずれも大規模な商業空間であるのに対し、エキタマは、10平米程度の小型単店舗だ。丸みを帯びた卵形のユニークな外観が特徴で、「新しいモノやコトを生み出す場所」をイメージした形状だという。

 エキタマの狙いは「原産地や製造方法にこだわったモノを提供し、食材の良質さや素材の安全性、地方のいいものに関する情報をエキタマから発信していく」(JR東日本ステーションリテイリング・マーケットデザイン部の峰川寛氏)ことにある。

 エキタマ1号店は、ホットドッグショップ。ソーセージは、豚肉の最高峰と言われる金華豚と三元豚を使用した平田牧場(山形県酒田市)のもの、パンは、石窯で焼き上げたタカキベーカリー(広島市)のものを使用している。通路をはさんだ正面に7月にオープンした2号店では、米粉を使ったワッフルを販売。厳選した国内産米にこだわる京都の「図司穀粉」の米粉を使用した新しい食感のワッフルだ。価格は、プレーンドッグが280円、ワッフルが150〜180円。こだわり素材を使いながらも、買いやすい価格となっている。

 このような個性的なショップを作ることができたのは、直営店であることが大きい。「自分たちで仕入れ、販売し、直接お客様とコミュニケートしながらニーズを探っていく直営ビジネスはいわば小売りの原点。エキタマは、無から有を生み出す実験的な場所であり、人材育成の場所でもあると位置づけている」と峰川氏は説明する。

 駅ビルのような「場所貸し」ではなく小売業へ。エキタマは、鉄道会社がさらに深く小売りに関わっていくための実験店でもあるのだ。

個性的な外観デザインが目を引く「エキタマ」(画像クリックで拡大)

手ごろな米粉ワッフル(画像クリックで拡大)