S-Masterの音質は驚異だ
iPod touchの残念なところは音質だった。ボディーの片面を占める液晶がノイズ源となっているのか、常に「ポツポツポツ」という音がのってしまう。再生音もほかと比べてクリアとは言い難い。
ウォークマン Xもボディーの片面が液晶のようなものだが、そのノイズの影響は感じられない。再生音のクオリティーは段違いで、デジタルカメラで言えば画素数のケタが違う感じだ。レンジが広い、歪み感が少ないというのはもちろんだが、音像に立体感や奥行きを感じるハイエンドオーディオ的な印象は、携帯音楽プレーヤーという限定条件を設けなくても十分通用する質の高さだ。
その高音質を実現している「S-Master」とは、波形を高速でサンプリングし、音をパルス幅や粗密に置き換えて再現する、1bit 方式のデジタルアンプのこと。これまで同社のパソコン「VAIO」の一部機種に採用され、その音の良さは確認済みだったが、小型のモバイル機でそれらとほぼ同じ印象の音質を実現しているのは驚くほかない。
ノイズキャンセルもデジタル化
今やウォークマンシリーズの定番メニューとなったノイズキャンセルシステムも、今回からデジタル化された。従来はフィルターのノイズや音質の劣化があり、消音効果と引き換えに音質は諦めなければならなかったが、今回はそうした劣化がほとんど感じられない。フィルタのかかる帯域の違いで「電車・バス/航空機/室内」の設定が可能だが、状況に関係なく好みで選んで良いだろう。
消音効果も向上している。システム自体のノイズが減ったこともあって、音が流れていないときは本当に静かだ。それを利用した機能として、音楽やビデオを再生していなくても耳栓代わりにできる「サイレントモード」もある。また別売りの外部入力ケーブルを使えば、ほかの機器をつないで単体のノイズキャンセルイヤホンとしても使える。
ただ気になる点が一つ。本体の音質は付属専用イヤホンに対して役不足だ。ウォークマン Xの付属イヤホンの質は他社に比べても非常に高いと思うが、それでも物足りないくらい本体の音が良くなっているのだ。もっと高級なイヤホンやヘッドホンをつなぎたいところだが、するとノイズキャンセルが効かないというジレンマもある。結局、状況に応じて好みのヘッドホンと使い分けるのがベストということになるのだろうが、あえて贅沢を言えばマイク内蔵専用イヤホンのブラッシュアップを望みたいところだ。

















