さらなる事業拡大をねらうエイベックスが満を持して、ケータイ向け動画配信サービス「BeeTV」を始めた。これはエイベックス・エンタテインメントとNTTドコモによる合弁会社、エイベックス通信放送が行うサービス。10Mバイトiモーション対応のドコモ携帯で、月額315円で8ジャンル20番組以上が楽しめる。

 各番組の長さは2〜10分。ユーザーは好きなときにダウンロードして見る。既存コンテンツの使い回しではなく、すべてオリジナルで制作されたものだ。ドラマやトーク番組など、バラエティに富んだ内容で毎週、更新される。

他キャリアの動向は?

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08年にフジで放送されたドラマ『ロス:タイム:ライフ』をオリジナルで撮り下ろし、毎週5分間のドラマとして配信中。第1弾『猫編』では谷村美月らが出演。第2弾『ロックスター編』が5月11日開始。
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3月1日から「S-1バトル」を開始。プロのお笑い芸人が3分間以内にまとめたオリジナルのお笑い映像を投稿。それを視聴したユーザーからの投票により、毎月、チャンピオンを決める。

 エイベックス・エンタテインメント取締役映像制作部長兼新規事業開発部長の堀健一郎氏は、「2年目で会員150万人を目指しています」と目標を語る(現在、ドコモの携帯電話ユーザーは約5000万人)。5月1日のサービス開始と同時に、端末の専用ボタン1つで、ニュースや天気予報などの配信情報が手軽に見られる「iチャネル」にもBeeTV専用の入口を開設し、そこからも会員登録が行えるようにする。また、5月中はBeeTVのテレビCMを流すなど、目標に向けて大々的にプロモーションを行う構えだ。

 だが、月額315円という料金はユーザーに、どう受け止められるだろうか。現在、課金型の動画配信サービスは、どこも苦戦している。一方、PCで浸透したYouTubeやニコニコ動画などの無料サービスが、最近は携帯に対応し始めた。無料で見られるワンセグもある。これらに“勝てる”のか。

無料映像にどう対抗?

 「例えば番組制作のために、ケータイ画面と同サイズの小さなモニターを開発しました。撮影時に、それで映像をチェックし、ケータイで見るのに適した撮影手法、編集手法で作っている。今回の事業に、ドコモさんとともに70億を投資しましたが、そのほとんどは制作費に充てています。今までケータイ向けのコンテンツにこれほど投資をした企業はありません」(堀氏)。内容に自信をのぞかせるとともに、(本来テレビで見る番組をケータイで視聴する)ワンセグもライバルではないと言う。

 コンテンツの二次利用を積極的に視野に入れていることも、他の動画サービスとの違いだ。BeeTVではコンテンツの原版権を、初めからエイベックス通信放送が100%持つ契約となる。DVDや書籍として改めて販売し、そちらでも収益を得る狙いだ。

 「これは、弊社が音楽で培ってきたビジネスモデルです。番組の権利を持つことで、二次利用が円滑に行えます。自らコンテンツを作り、自ら構築したビジネスモデルによって、新たなマーケットを切り開いていくことが私たちの目的なのです」(堀氏)

 ケータイやネットでは様々な新サービスが生まれているが、目玉となるコンテンツが1つ現れれば、利用者が爆発的に増えることがある。例えば“猫鍋”が話題になったとき初めてYouTubeを見た人は多いだろう。そこで鍵となるのは、EXILEや安室奈美恵といった、エイベックスが抱える超人気アーティストが、BeeTVにどれだけかかわってくるかだ。早速、5月から東方神起が番組を持つが、今後他のアーティストも参加することで、一気に火がつくシナリオは考えられる。

 動画配信は、ケータイ各社が今後の柱として掲げるサービス。BeeTVの成否はキャリア同士のシェア争いにも影響を与えそうだ。

ドラマを中心に20番組以上

 ドラマ、お笑い、トークなど21本の番組を配信(5月のサービス開始時点)。ドラマが特に充実し、『40女と90日間で結婚する方法』(出演・市原隼人、飯島直子ほか)、『KOI☆AGE 〜恋するアゲハ〜』(出演・小西真奈美ほか)、『とっても甘いの〜C’est tres doux 〜』(出演・香椎由宇ほか)などがある。内容は毎週更新。iモード情報料月額315円で、配信中の番組は見放題。アクセス方法は、NTTドコモ10Mバイトiモーション対応機種で、iチャネル内の「BeeTV」、またはimenuの「動画」にある「BeeTV」へ。URLはhttp://beetv.jp/

(文/松谷 創一郎)

※この記事は日経エンタテインメント!(6月号)より転載しました。