オリジナルドラマなど配信「BeeTV」開始の狙いとは
~松浦勝人社長インタビュー~

 携帯電話でテレビのようにドラマを視聴する――エイベックスグループがNTTドコモと組み、携帯電話向けの映像配信サービス「BeeTV」を5月1日に開始した。和田アキ子や飯島直子、香椎由宇などの有名タレントが出演するドラマやバラエティ番組を配信する。月額315円の料金で見放題。1話1~10分程度でちょっとした待ち時間でも楽しめるのが特徴だ。

 テレビ並みの出演者とクオリティーの番組を配信する“放送局”という位置づけだ。4月10日にNTTドコモと70億円を投じて設立したエイベックス通信放送を通じて映像を配信する。まず携帯向けに配信し、DVDや本、放送での二次利用にもつなげて事業を拡大する考え。ネットを中心とした新たな映像事業モデルとなる。

 利用者は映像をダウンロードして見る。市原隼人、飯島直子出演のドラマ「40女と90日間で結婚する方法」、小西真奈美、木下優樹菜出演のドラマ「KOI☆AGE ~恋するアゲハ~」、さまぁ~ずとあびる優が出演するコメディ番組「トゥルルさまぁ~ず」など20番組を配信している。それぞれの番組の更新日に新たなコンテンツが配信されるが、配信期間中はどのコンテンツも見放題。1クール3カ月程度の配信期間が終了しても、1話50円で見られるようにする。

BeeTVの発表会は4月1日に都内のホテルで開催、出演者が一堂に会した(画像クリックで拡大)

和田アキ子が大物ゲストを迎えてトークする「和田アキ子最強バトル!」も5月1日に始まった(画像クリックで拡大)

 ネットの映像配信サービスはこれまで、収益をあげることが難しいと言われてきた。テレビ各局も映像配信サービスに力を入れるが、例えば昨年12月に始まったNHKの「NHKオンデマンド」も3月の購入者数が1万4000人で、目標の8万1000人を大きく下回っている。

 エイベックスはこうした中、制作費や出演料に加えて視聴回数に応じたロイヤリティーを支払う収益分配モデルを導入。従来のネットコンテンツにはなかった新たな仕組みで豪華出演者を確保した。

 ネット映像配信のコンテンツはこれまで、映画やテレビ番組などの二次利用や、制作費を抑えたネット専用コンテンツが中心だった。ただこれでは見る人が限られるのも事実。エイベックスはこれに対し、テレビと同等のクオリティーのオリジナル番組を作って視聴者のすそ野を広げようとしている。

 エイベックスグループは、EXILEや安室奈美恵、浜崎あゆみらの人気アーティストを多数抱える。音楽・映像ソフト市場調査のエス・アイ・ピーによれば、2008年の制作会社別売り上げシェアで16.1%の首位。音楽業界をけん引する存在だ。

 音楽に続き拡大を狙ってきた映像事業もようやく軌道に乗り始めている。エイベックスが出資し2008年11月に公開した「レッドクリフ Part I」の動員数は410万人で興行収入が50.5億円。4月10日に公開された「Part II」も5月6日時点で動員数が368万人、興業収入は45億円に達した。新たな映像事業モデルの狙いは何か。エイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長に聞いた。

松浦 勝人(まつうら・まさと)
エイベックス・グループ・ホールディングス社長

1964年神奈川県生まれ。日本大学経済学部卒業。エイベックスの創業メンバーの1人。浜崎あゆみほかを発掘して、プロデューサーとして数々のヒットを生む。2004年9月に社長就任。09年4月から新会社エイベックス通信放送の会長も務める