内容に加えて、北脇氏特有の誌面の作り方として、写真選びとレイアウトに時間をかけるという点がある。1枚の写真を選ぶのに5分、見開きのレイアウトに1時間かけることはザラだというこの作業により、「念がこもる」のだという。これは、リニューアル後の方針の一つである、「よりビジュアルを重視した誌面構成」とも関係する。

 ビジュアルを重視することで、「雑誌の“雑貨化”が起こる」と、戸高氏。「単に情報を得るための媒体ではなく、“眺めていて楽しい”“生活空間に置いておきたい”“何度でも触れたい”と思わせることに成功したのが今回のリニューアル。つまり『雑誌の雑貨化』を起こした」。この仕掛けが、北脇氏特有の誌面構成というわけだ。このほかにもビジュアル面強化の一環として、創刊時から続いていた表紙のケン・ドーン氏が手がけるイラストを写真に変更するとともに、判形もワイド判に変更。「そんなに大きな雑誌を東京の女性は持ち歩かないのでは」という不安もあったが、結果的に「雑誌メディアの特性であるストーリー性、紙の触感、めくるリズム、所有することで喚起される気分」を強調することとなった。

 さらに、1冊の特集に多数の編集者がかかわるこれまでのシステムを廃止した。この手法は、同社の人気雑誌「BRUTUS」の編集部でも以前から行われ、効果的だったものだ。社員編集者1人が一つの特集をすべて担当し、多数のスタッフ全体の動きを常に把握することで、特集テーマの軸がぶれず、誌面に統一感が生まれるという。こうすることで、編集者の誌面に対する責任を自覚させ、自立を促すこともできる。

2009年2月12日発売号の中ページ。誌面に合った写真を撮影するため、ビジュアルディレクターの古賀千恵子さんが撮影現場に同行している(画像クリックで拡大)

2009年2月28日発売号。「人気沿線マップ」特集の中ページ(画像クリックで拡大)

 ビジュアルを重視し、内容にブレのない特集を掲載した結果、以前は書店で週刊や月刊の情報誌と並べられることの多かった「Hanako」が、今ではビジュアルを重要視したファッション誌と並ぶこともある。職場の昼休みや電車内だけで「Hanako」を読んでいた読者が、家に持ち帰って読むようになったという変化もあるという。また、ネット販売を通じて地方から購入する読者も増えている(セブンアンドワイの雑誌売り上げで同誌は上位に上がることが多い)。これらのことからも、単に情報を入手するためのツールとしてではなく、まさに“雑貨”のような感覚で女性からの支持を集めていることが分かるだろう。