景気後退が続いている。社団法人日本旅行業協会(JATA)が行った「2008年12月期 旅行市場動向調査」の調査結果によると、「国内旅行市場は予想以上に悪化しており、今後も一層冷え込む見通し」という。旅行需要はあるものの、安近短志向、つまり日帰りなどの短い旅行や、金額の安いツアーなどへダウングレードする傾向が鮮明になっている。こうしたなか、都市間の長距離移動の新たな手段として、運賃の高い飛行機や新幹線に代わって人気が高まっているのが、格安で利用できるツアーバスだ。そこで今回、人気が集まるツアーバス会社が新たに始めているサービス、増えつつある新路線を紹介する。

  従来、都市間を結ぶ長距離バスは「高速バス(長距離路線バス)」と呼ばれる、あらかじめ設定された経路を定期的に運行するものが主流であった。これに対し、近年急増しているツアーバスとはパッケージツアー(企画旅行)の形態で乗客を募集し、会員制バスとして運行するという形態をとるもの。しかし「ツアー」という形態ながら一般的な団体旅行とは異なり、基本的に添乗員は随行しない。1人で片道だけの利用も可能なケースが大半であることから、乗客の立場から言えば実質的には高速バスと変わらない。企画旅行の体裁を整えるため、使い捨ておしぼりや歯ブラシなどの小物が配布される場合があるが、出発から到着までの間は運送以外のサービスを省くため、食事を含めた観光や宿泊は旅行代金に含まれない。こうすることで格安に設定した利用料金と、さらにインターネットなどで予約できる手軽さも加わり、若年層を中心に人気が高まっている。国土交通省東北運輸局が2007年に行ったツアーバス利用者に対するアンケート調査の結果によると、ツアーバスを選択した理由のトップとして、実に98%の人が「料金が安いから」(複数回答可)と回答している。例えば、東京―大阪間を結ぶ路線の平均的な運賃は3900円から4800円くらいに設定されている。新幹線だと1万4250円、飛行機だと2万2600円(ANA、普通片道運賃)なので、かなり格安だ。