「大変な経済状況だからこそ、協会としてその次の5年、10年を見据えた議論をきっちり行う1年にしたい」――。コンピュータエンターテインメント協会(CESA)会長の和田洋一氏(スクウェア・エニックス社長)は、2009年1月9日に開催したCESA新年賀詞交歓会で、業界団体としてCESAが今年取り組む課題を語った。

 この年末年始の量販店などのゲーム売り場の多くは活況を呈していた。とはいえ、世界的な不況の流れにゲーム業界も無縁というわけにはいかないようだ。

 ゲーム情報誌を発行するエンターブレインが1月5日に発表した調査によると、2008年の国内家庭用ゲーム市場は、対前年比で84.7%となり、過去最高を記録した2007年の市場規模からはひと段落した形となった。

コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の和田洋一会長(画像クリックで拡大)

 一方、海外では大手メーカーのエレクトロニック・アーツ社が、全世界で少なくとも9カ所のスタジオの閉鎖と、約10%のレイオフの実施を発表。

 そうした状況の中、和田会長は「個々の企業の立場では、長期的視点に立って冷静に考える余裕がなくなってくる」との認識を示し、「だからこそ、(業界団体の)CESAとしては、今まで議論し尽くしていなかったことを、じっくり議論し結論を出したい」と述べた。

 具体的には、人材育成、レーティング、ネットワーク(オンラインゲーム)の3つの課題を挙げた。

 人材育成では、他業界との交流、クリエーター同士の交流、教育機関との連携について議論が必要だとした。

 レーティングは、これまでは専ら青少年健全育成のために整備を進めてきた。しかし、これからは、大人が十分楽しめるゲームであることを区別して薦められるように、マーケット拡大の手段としてレーティングを使う方法を考えるべきだとした。

 ネットワークもレーティングと同様に、規制の整備ではなく、ネットワークで社会にどのような新しい楽しみを与えられるかといった、積極的な方向性でビジネスチャンスの創出を考えていくべきだと提言した。

 CESAが行う事業として、ゲーム業界最大のイベントである「東京ゲームショウ(TGS)」や、ゲーム開発者向けのカンファレンス「CEDEC(CESA Developers Conference)」がある。08年のTGS基調講演でも和田会長は開発能力の強化を訴えており、09年はCEDECの機能を強化し、ゲームコンテンツ産業の人的基盤作りに注力しようとしている。世界戦略を見据えた新たな動きが加速しそうだ。

(文/秦 和俊)