ヘレカツを広めたい一心で上京

 グリル梵の3代目で同店オーナーシェフの二井靖之さんは、東京進出の理由について、事業拡大ではなく、「大阪の味をそのまんま持ってきて、ヘレカツサンドを広めたい」という一心からだと語った。

 東京ではカツサンドというと圧倒的に豚肉を使ったものになるが、二井氏は牛肉の方がよい点がたくさんあるという。とくに大きいのが、高温でさっと揚げられるため、あっさりとした出来になる点だ。豚肉だと、火をしっかり通さなくてはならないため、難しいのだという。そのため、食べても胃もたれしにくい出来上がりになっている。

「大阪の人は食にシビアなので、安くて美味しい本物を速く提供しなければならない」(二井氏)

 そこから生まれたヘレカツサンドをそのまんま東京でも広めたいと、店舗の出店を決めたのだった。

「チェーン店化などは一切考えていないし、はっきりいって無理」(二井氏)。東京に一店舗出すならば、やはり銀座だろうと今回の進出を決めた。徒歩圏内に歌舞伎座や新橋演舞場などの劇場やオフィスも多いため、デリバリーのニーズも見込んでこの場所を選んだ。大阪でも、片手で食べられるため、昼食を兼ねた会議で注文されるケースや、多忙な医師などへの差し入れといったニーズがあったという。

「そのまんま」にこだわるあまり、肉はもちろん、ソースも大阪で仕込んだものを東京まで運んでいる。大阪店と全く同じ味を出すべく、コスト度外視で、大阪から運んだ食材で作っているのだ。

赤味の極上「ヘレ肉」のみを使用。これでおよそ3キロだ。大阪で仕入れたものを東京まで搬送して使用している(画像クリックで拡大)

ドリンクメニューに並ぶ「ダイヤモンドガラナ」(450円)という炭酸ジュースも、販売元の布引礦泉所(神戸市)に卸元を広げる気がないため大阪から運んでいる(画像クリックで拡大)

「大阪の味をそのまんま」、というこだわりは、価格にも反映されており、大阪と同じ価格で銀座店でも提供している。

「ヘレカツ」は東京の豚を使ったカツサンド文化に一石を投じることができるのか? 大阪の味の挑戦は、始まったばかりだ。まだ「ヘレ」文化に出会っていない人はぜひ一度味わってほしい。

(文/北本祐子)

新世界 グリル梵 銀座店
〒104-0061 東京都中央区銀座7丁目14-1
TEL/FAX 03-5565-3386
営業時間:11:30~23:00
定休日:日曜・祝祭日
URL:http://www.grill-bon.com/