ニコンが2008年12月に発売する「メディアポートUP(ユー・ピー)」 (画像クリックで拡大)

 ニコンが2008年12月に発売するHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)「メディアポートUP(ユー・ピー)」は前回紹介したように、液晶モニターのほか、AVプレーヤーとヘッドホン、無線LANなどを合体させた新機軸のモバイルAVブラウザーである。魅力的な情報ツールだが、全く新しい機器であるだけに未知数の部分も多い。そこでUP開発陣に製品コンセプトや使いこなしを聞き、その実像に迫ってみよう。

新コンセプトのモバイルツール

ニコン 映像カンパニー マーケティング本部 第一マーケティング部 主幹 加藤茂氏 (画像クリックで拡大)

増田: メディアポートUPは、とてもユニークなHMDだと思いますが、UPを設計する上でのモチーフをお聞かせください。

加藤氏: UPは8年間も温めてきたアイデアで、最初は「自分にとってこんなツールがほしい」という個人的な思いから出発しました。通勤の際に携帯電話でメールなどを見ていたのですが、画面が小さくて見にくいし、操作も面倒に感じていました。ムービーの閲覧を含め、もっと満足度と情報量が得られる先進的なブラウザーがほしい、というモチーフでUPの設計を始めました。

増田: HMDといえば10年ほど前にソニー「Glasstronシリーズ」やオリンパス「Eye-Trekシリーズ」などが登場しましたが、価格が高いこともあってか一般的には定着しませんでした。今なぜHMDを世に出そうと思ったのでしょうか。

ジャンル的にはHMDと言えるが、見た目はアラウンドイヤータイプのヘッドホンにほど近い (画像クリックで拡大)

加藤氏: UPはジャンル的にはHMDと言えますが、全く新しいコンセプトで設計しています。携帯電話やデジカメなどデジタル機器が進化した結果、コンテンツをアウトドアで持ち歩く文化が生まれ、最近はモバイルで動画を楽しむ時代になってきました。そういうトレンドにマッチする新しいAVツールがUPなのです。UPで視聴すれば、1m先で17型相当、3m先で50型相当の仮想大画面を体験できます。このため携帯電話にはない満足度と情報量を得ることが可能です。

増田: モバイル利用を前提に設計されているのでしょうか?

加藤氏: その点が今までとは違う特徴です。今までにもAV用途のHMDは発売されていましたが、電源アダプターやプレーヤーが別途必要なため、使える場所がインドアに限られていました。そのためプロジェクターや、大画面化が進む薄型テレビに勝る魅力を得られずに消えてしまった、と考えられます。これに対してUPは、電源やプレーヤーまで内蔵したオールインワンである点が今までのHMDにない特徴で、アウトドアでも気軽に使えます。