7月19日、『ハウルの動く城』以来4年ぶりとなる、宮崎駿監督の新作『崖の上のポニョ』が公開される。

 『崖の上のポニョ』は、その内容に関係なく、「宮崎アニメ」の持つブランド力だけでヒットが約束されている、いわば「安全パイ」と言える作品である。だが、そこは妥協を許さない宮崎駿だけあって、手軽なヒットを狙ったアニメ作品とは一線を画する。67歳にして彼の新境地を見せつける作品に仕上がっている。

 アンデルセンの童話「人魚姫」を下敷きに、時代を現代に置き換え、離島に暮らす5歳の少年・宗介と、“人間になりたい”と願う金魚のポニョの愛と冒険を中心にした物語。

 離島が舞台だけあって、今作は「海」を重要なモチーフとしている。「山」や「森」、そして「風」を主要なモチーフとしてきた宮崎駿の新境地がここに見出せる。

 すべてが手書きという、特筆すべき造形力によって描かれた「海」の様子は、観る者に少なからず衝撃を与える。穏やかなときは、優しく、多様な生命が息づく箱庭として描かれるが、嵐のときは、激しくのたうち、叫ぶ様にすべてを飲み込んでいく破壊者として描かれている。状況に応じて様々に変化する海の光景から、実際に生きているかのように錯覚するだろう。

離島に暮らす5歳の宗介
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