一部の時代劇ファンの間で、「第2のマツケンサンバになるかも!?」とひそかに話題を呼んでいる体操があるという。その名もズバリ、『時代劇体操』。なぜ今、“時代劇”で“体操”なのか。その謎を探るべく、舞台裏を取材してみた。
「時代劇体操、始まりますよ。みなさん、ご一緒に〜」
謎の体操は、しっとりと落ち着いた女性の呼びかけ声で始まる。見れば、頭いっぱいのかんざしをキラキラと揺らし、花柄の振り袖に身を包んだ、あんみつ姫スタイルの麻丘めぐみが…。テロップには「麻丘めぐみと腰元ダンサーズ」とある。
わき上がる疑問を反芻(はんすう)する間もなく、「GO!」という掛け声とともに軽快なメロディーが流れ出す。腰元たちとともにステップを踏み出す姫様。すかさず「座ったままでもいいですよ〜」。
つまり、この体操のメインターゲットはお年寄りということか。ゆったりしたリズムとほがらかな歌声に乗って展開される動きは、ラジオ体操の10分の1以下の運動量に違いない。それでも姫様は、振りの合間に「ゆっくりで、いいですよ♪」。
いや私、まだ若いんで、これくらい余裕ですけど…と画面に反論しつつも、タイミング良く投げかけられる優しい言葉に、ホロリと心がほころんでしまう。姫様は、全身で気遣いと励ましを表現し、体操を続ける――。
実はこの『時代劇体操』とは、スカイパーフェクTV!(以下、スカパー!)の「時代劇専門チャンネル」(Ch.718)のオリジナル体操PV(プロモーションビデオ)なのだ。当チャンネルの主な視聴者であるシニア層に向け、「テレビ視聴の合間に身体をほぐしていただけたら」と企画されたという。
振り付けは、『マツケンサンバ』でおなじみの真島茂樹氏。そしてテーマソング『あっぱれ!みなさま』は、『お嫁サンバ』の小杉保夫氏が作曲を、コラムニストで時代劇に造詣の深いペリー荻野氏が作詞を手がけた。麻丘氏の派手なコスプレはまるでギャグのようだが、業界の第一人者がお年寄りを思って真剣に作り上げた、真面目なコンテンツなのである。
「最近は高齢者の方にとって“踏んだり蹴ったり”のことが多いような気がしまして。この体操で元気になっていただけたらいいなと思って詞を書きました。真島さんも小杉さんもオファーを快諾されたそうですよ」(作詞のペリー荻野氏)
スカパー!では、既存の番組を独自の切り口で編成し、“再放映”するスタイルのチャンネルが主流である。そうした中で、時代劇体操のようなオリジナルコンテンツの制作に乗り出すのは、かなり贅沢な試みだったという。視聴者との交流の活性化を目指し、時代劇上映会や時代劇ロケツアーを行ってきた時代劇専門チャンネルだからこそ実現した、スカパー!でも異例のコンテンツだと言えよう。
4月の放映開始以来、老人ホームなどからCD化の問い合わせが相次いでいるほか、「2ちゃんねる」をはじめとした掲示板に替え歌がアップされたり、ブログで取り上げられたりと、時代劇ファンを中心にじわじわと注目を集め始めている。後期高齢者医療制度に年金記録問題など、暗い気分になってしまう話題の多い昨今。お年寄りに限らず、幅広い世代の硬くこわばった身体と心をほぐして、さらなるブームを呼ぶか。
(文/ライター酒井はる奈)
時代劇最新情報番組『瓦版』(月曜9時50分ほか。1日3〜4回リピート放送あり)のエンディングとして放送中











