とある会社の入社式で女性が答辞を読んでいる。しかし、「昼下がりには、やはりやる気が」などというネガティブ発言で周囲は騒然。この人、一体誰? と思ったら次のカットで「ま、紅茶でも飲んでがんばります!」と人懐っこい笑顔の蒼井優がペコリ。会場は大歓声に包まれる。
誕生から22年を迎えるキリン「午後の紅茶」が味もパッケージもフルリニューアルした。そのCMの新キャストとして、演技力に定評のある蒼井優を起用。新「午後ティーのマドンナ」就任という意味も込めて、舞台は新社会人の就任式に決まった。
冒頭のシーンを再現したような出来事も起こった。さる4月1日に行われたキリンホールディングスの入社式に、なんと蒼井本人がサプライズゲストとして登場。入社式の第2部でのことだった。実はこれが新・午後の紅茶の記者発表を兼ねていた。
中身もCMもフルリニューアル
新入社員を代表し、入社式の壇上で答辞を読み上げる蒼井優。「身を粉にして働く所存ですが、昼下がりにはやはりやる気が…」。思わぬ発言にびっくりする役員ら。しかし蒼井優は、明るく元気に「まっ、紅茶でも飲んでがんばります」と笑顔で宣言する。パッケージも中身もフルリニューアル。紅茶の味わいがはっきりしたテイストになった
午後の紅茶「入社式」編
CD・河野泰夫/企画・福田崇、安達和英/コピー・石川英嗣、福田崇、安達和英/クリエイティブプロデューサー・日下部真紀子/プロデューサー・島口茂樹、大嶌諭/演出・神谷佳成
新たな話題づくりの手法
キリンビバレッジ営業本部マーケティング部商品担当部長の丸岡俊哉氏
予想外の展開に新入社員はCMさながらのリアクションを見せた。その様子はワイドショーなどテレビ番組やインターネットのニュースで大々的に報じられ、結果、新・午後の紅茶を広く世間に知らしめることにつながった。
「これまでと違って、広告のやり方にも、ひと工夫が必要」。入社式と記者発表会をドッキングさせた狙いについて、キリンビバレッジ営業本部マーケティング部商品担当部長の丸岡俊哉氏はそう語る。依然、テレビの力が強いとはいえ、ネットや衛星放送など媒体ツールは多様化している。効率よく、インパクトのある見せ方をしたいと、頭をひねった結果のウルトラCである。
しかし広告の企画内容が決まった段階では、このサプライズ計画は無かったそうだ。商品の発売時期と入社式が同時期、キャストと新入社員が同世代など、条件がそろったところで案が浮かび、関係各部からも協力が得られた結果、短期間でこの企画が実現できた。
宣伝力は行動力なり、というのは今も変わらないようだ。
(文/矢野りん)
■関連情報
・キリンビバレッジのWebサイト http://www.beverage.co.jp/
※この記事は日経エンタテインメント!(6月号)より転載しました。











