そろそろ殺虫剤が必要な季節が近づき、メーカー各社が新製品を相次いで発表。以前に「お部屋の4角にチュッとするだけで蚊に刺されない空間を作るスプレー」(アース製薬)を紹介したが、実はこれ以外にも、ユニークな機能と名称を持つ殺虫剤がどんどん出てきている。

 “グルメなゴキブリを徹底研究”と銘打たれ、ナイフとフォークが描かれたパッケージが印象的な「ゴキブリレストラン」(アース製薬)、“ゴキブリ好みの7種の極上ブレンド”をうたう「ホウ酸ダンゴ プレミアム」(フマキラー)……。いったい、殺虫剤業界に何が起こっているのだろうか。これらユニーク商品の誕生の秘密を探った。

ゴキブリにもグルメは必要!?
“効く”殺虫剤にこだわるアース製薬

 アース製薬の新製品で最も目を引くのは、ゴキブリの味覚に注目したという「ゴキブリレストラン」だ。何と、3つの味の毒餌が入っていて、ゴキブリが好みの味を選べるようになっているのだ。それだけ見ると、まるでキワモノのようだが、実はこの商品、20年以上前から行われていた実験に基づいた、画期的な商品なのだという。

ナイフとフォークが描かれたパッケージが印象的な「ゴキブリレストラン」(924円)(画像クリックで拡大)

ゴキブリレストランの容器。「肉」「野菜」「デザート」がコーナーで別れている(画像クリックで拡大)

 「昔、ホウ酸ダンゴは砂糖とでんぷんの塊だったんです」と、開発当時を振り返ってくれたのは、アース製薬・研究開発本部長であり、農学博士でもある根岸務氏。根岸氏はそんな白玉団子のようなモノをゴキブリは本当に好きで食べているのか、と疑問に思い、様々な味の団子を作ってゴキブリに食べさせる実験をしていたのだという。「その時に、さまざまな面白い結果が出たんです。例えば、研究室で飼っているゴキブリと家庭のゴキブリでは好みが異なるとか、チャバネゴキブリとクロゴキブリでも好みが違うとか。さらに、ゴキブリは成長過程でも好みが変わることも分かったんです」(根岸氏)。

 独自開発の置き場を選ばない六角形容器に即効成分フィプロニルを配合した三種類の味の餌が収納されている。

 その研究成果を踏まえて製品化したのが、「ゴキブリレストラン」。クロゴキブリの老齢幼虫やチャバネゴキブリの幼虫が好きな肉味、クロゴキブリの若齢幼虫やチャバネゴキブリの成虫が好む野菜味、クロゴキブリの成虫やチャバネゴキブリの幼虫・成虫が好むデザート味の3種類を用意して、種類や成育環境、成長過程の異なるゴキブリに対応する。これらをハンバーグのように混ぜてしまうと肉の味が強くて他の味が負けてしまうため、ゴキブリの幅広い食の好みに対応できないという。「この研究成果はアース独自のものなので、他に類似製品はないと思います」と根岸氏は胸を張る。