総務省情報通信審議会は2008年4月25日、「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 第36回」を開催した。その中でDpa(社団法人デジタル放送推進協会)が2008年6月2日午前4時に運用開始を予定していたデジタル放送のコピーワンス緩和策(通称・ダビング10)が、予定通りにスタートすることが事実上不可能であることが分かった。

 Dpaではダビング10の運用開始日を2008年6月2日午前4時予定としているが、4月25日時点で決定とはなっていない。これに対し日立製作所の田胡修一委員は「第4次答申(※)に沿ってダビング10の早期実現に向け努力してきたが、放送運用開始日が確定しないと受信機に実装できない。また、放送ダウンロードによって既存の機器をバージョンアップする場合でも計画が立たない。運用開始日を改めて早く決定してもらいたい」と発言した。

※総務省情報通信審議会が2007年8月2日に出した第4次中間答申「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」(PDFファイル)

 松下電器産業の中島不二雄委員は、より具体的にHDD&DVDレコーダーやBDレコーダーなど既存AV機器のダビング10対応についてのロードマップを語り、6月2日に迫る運用開始(予定)日の実現性について赤信号を発した。

 「我々は2006年秋以降に販売した機種をダビング10に対応したいと考えており、その手段がオンエアダウンロードになる。スタートする10日ほど前に電波を出し続けて、機器の電源が入った際に必ずバージョンアップする仕組みにしたい。だがダウンロード開始の1週間から10日前にはユーザーに告知しなければならない。また、お客様に告知する前に流通、販売店にも説明して理解してもらう必要がある。そう考えると、6月2日にダビング10を開始する前の30日前とか、ある程度時間をもらわなければならない。いきなりパッと実施すると大混乱が起きる。連休明け、5月はじめくらいに決まらないとメーカーとしては対応しきれない」(中島不二雄委員)

 これに対してフジテレビジョンの関祥行委員も「放送事業者もかなり前から周知しなければいけない。特にコピーワンスが残る有料放送事業者、例えばスカパー!の場合はチャンネルによって(コピーワンス放送とダビング10対応が)違うと思うので、それについて周知しなければならない」と答えた。

 関委員は「開始日は前回(4月11日に開催された第35回検討委員会)にも話したが、放送事業者だけで決められるものではないし、メーカーと事業者で一緒になって決めるもの。ただし第4次答申で『委員の合意の上で進めるべき』とあり、委員会の説明と委員の理解を経て進めるべきだと考えている」と話し、明言は避けながらも「委員の合意が得られていない」ということを示唆した。

 次回の検討委員会は5月13日の開催を予定している。そこで合意を得たとしても6月2日まで3週間を切っており、ユーザーや販売店、流通などへの周知や啓蒙活動のスケジュールが間に合わない。そのため、6月2日の運用開始は事実上暗礁に乗り上げた形だ。

(文/安藏 靖志=nikkei TRENDYnet)

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