「孔子学院」は、中国語と中国文化の国際理解促進のため、中国政府が海外の大学や教育機関と連携して設置・運営している本格的な中国語教育機関。2004年に国家プロジェクトとしてスタートし、現在、世界各地の大学や語学学校に設立され、中国政府が人材や教材を提供している。いずれも、各国の大学や教育機関が、中国の大学とパートナーシップを組んで展開している。

 ちなみに、政府お墨付きの語学学校や機関は、他国にもある。例えばドイツの文化交流機間「ゲーテ・インスティトゥート」や、イタリアの語学学校「イスティトゥート・パローラ」、スペインの語学学校「セルバンテス文化センター」などだ。しかし「孔子学院」ほど、急速に世界展開しているものはない。国際社会の中で中国の影響力が強まるのに伴い、中国は国家の世界戦略として「語学教育」を組み込んだのである。

ゲーテ・インスティトゥート

イスティトゥート・パローラ

セルバンテス文化センター東京

 04年11月16日、韓国・ソウルに最初の孔子学院が開校。その後、アジア、ヨーロッパ、北米、アフリカ、オセアニアなど、現時点で既に世界約65カ国、240カ所以上に開設されている。さらに、学習者がより便利に中国語を習得できるよう、ウェブサイト、ラジオ局、テレビ局との協力によって「ネット孔子学院」や「ラジオ孔子学院」などの開設も進んでいる。

 日本でも、中国やアジアに関する教育・研究に力を入れている大学を中心に、これまで11学院、6学堂が全国で開校されている。そのうち既に事業を展開しているのは6校。そのほかは調印を済ませた段階で、現在、開校の準備段階にある。

 日本での孔子学院第1号は、05年に立命館大学と北京大学(北京)が提携して設立した「立命館孔子学院」だ。その後、同年に桜美林大学と同済大学(上海)、06年には北陸大学と北京語言大学(北京)、愛知大学と南開大学(天津)、07年に立命館アジア太平洋大学と浙江大学(浙江)、札幌大学と広東外語外貿大学(広州)がそれぞれ提携し、日本の大学名を用いた「孔子学院」を設立している。

 07年4月には早稲田大学が北京大学と組み、世界初の“研究型”の孔子学院「早稲田大学孔子学院」を設立する協定書を締結した。早稲田大学と北京大学は03年に「早稲田大学−北京大学共同教育研究運営機構」を設立したが、両校はその事業の一環として、同学院を全学的に支援・推進する構えだ。国内にあるほかの「孔子学院」のように講座は開かず、若手研究者の共同育成や日中間学術共同研究を実施していく。07年11月12日には、早稲田大学孔子学院開所記念イベントとして「北京大学DAY」を開催。08年2月に、世界銀行副総裁兼主任エコノミストに就任した林毅夫教授など、北京大学から著名な研究者が6人招聘され研究セミナーが開かれた。