『マッハGoGoGo』『ドラゴンボール』をハリウッドの大手映画会社が実写映画化するなど、日本のキャラクターが海外で注目を集めている。そんななか、またひとつ「日本発海外へ」のキャラが登場した。仮面ライダーだ。02~03年にかけて放送された『仮面ライダー龍騎(りゅうき)』を基に、『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』として全50話の番組製作が米国で進んでいる。出演者はすべて米国人に変わり、セリフは英語だ。

 実は『KAMEN RIDER』を製作しているのは日本の会社。映画・DVDの海外販売などを手がけるアドネスだ。東映から『仮面ライダー龍騎』のリメイク権を購入。全50話の総製作費約20億円も負担して製作にあたっている。キャラクターの設定や脚本作りには東映、製作費の調達にはみずほ銀行が協力している。

 「仮面ライダーシリーズの撮影経験がある日本人スタッフと、米国人スタッフの混合部隊。米国人スタッフには仮面ライダーオタクが多い(笑)」(瀬端文雄社長)

 メインエピソードの脚本・監督を務めるのはスティーブ・ワン。古くは映画『プレデター』『エイリアン4』のクリーチャー造形、最近では『レディ・イン・ザ・ウォーター』のVFXを担当したベテランクリエイターだ。

『パワーレンジャー』が人気

アドネスが東映から『仮面ライダー龍騎』のリメイク権を購入。『KAMEN RIDER』の製作にあたっている。撮影は4月上旬で全話終了。順次CGなどの特殊効果を加えて番組を完成させる

 製作費20億円を日本映画に置き換えれば超大作クラス。テレビとしては破格の金額だ。「海外に売れるコンテンツをいろいろ考えた結果、仮面ライダーに行きついた。『パワーレンジャー』という成功例があるので製作に踏み切った」(瀬端社長)。

 『パワーレンジャー』とは、日本の特撮番組『恐竜戦隊ジュウレンジャー』を基に、93 年に米国のプロダクションが米国人キャストを起用して作った番組。米国をはじめ海外で人気を博し、シリーズ化されて現在も放送されている。

 「米国などではスパイダーマンやバットマンなどアニメーション番組は多いが、ライブアクション(特撮ヒーローものなどの実写番組)はほとんどない。アニメより製作費がかかることが大きな要因。米国のプロダクションに製作を丸投げするのではなく、自社でキャストやスタッフを直接雇って製作費を抑えれば、勝算があると判断した」(瀬端社長)

 現在海外のテレビ局と交渉中だが、来年前半には欧米から中南米まで25カ国以上で放送が始まる見込みだという。

 数ある『仮面ライダー』シリーズのなかから『龍騎』を選んだのにはワケがある。「日本と違って海外の子どもに受けるには、アクションシーンをふんだんに盛り込む必要がある。登場する仮面ライダーが1人だとアクションシーンが少なくなりがち。そこで、シリーズの中で最も多い13人、しかも唯一女性の仮面ライダーが登場する『龍騎』を選んだ。また『龍騎』には登場しないショッカーも『KAMEN RIDER』には登場させて、アクション度を増した」(瀬端社長)。

 海外では日本のアニメーションがジャパニメーションと呼ばれて注目を集めてきた。『KAMEN RIDER』が人気を博せば、日本製の特撮ヒーローものが新たな造語で注目を集めるだろう。

(文/日経エンタテインメント!編集部)

※この記事は日経エンタテインメント!(5月号)より転載しました。