世界中のどのクルマとも似ていない、独特な個性あるスタイリングをまとったコンパクトカー、新型「フィアット500」の販売が、3月15日から国内のフィアット正規ディーラーを通じて開始される。
「フィアット500」は、昨年2007年の7月4日に本国イタリアで発表。首都トリノをはじめ、イタリア全土で大々的に発表イベントがとり行なわれた。発売と同時に熱狂的な人気を博して半年で16万台を受注、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーなど数々の賞典も獲得している。欧州で、いま最も注目されているコンパクトカーともいえる存在だ。そして日本ではアニメ「ルパン三世」の劇中で、先代モデルがたびたび登場することから、クルマファン以外にも広く知名度がある。
日本では現在、欧米を中心に世界各国の自動車メーカーが輸入車販売競争を繰り広げている。新型フィアット500のプロフィールを紹介する前に、その生みの親であるフィアットの略歴に触れておこう。
フィアットは1899年、トリノで地元有力実業家9名が発起人となって設立された。現在はフェラーリ、マセラティ、アルファロメオ、ランチアなども傘下に収めているイタリア最大の自動車メーカーで、ブランドとしてのフィアットでは主に、大衆車を生産している。社名の「FIAT」は、トリノ・イタリア自動車製作所=Fabbrica Italiana Automobili Torinoの頭文字を取ったものだ。
創設メンバーで、のちに社長となったジョバンニ・アニエッリ氏は、創設当初からフィアットを、当時ヨーロッパの自動車産業の中心的存在だったフランス車に対抗する企業に成長させたいと考え、海外への輸出も第二次世界大戦の前という早い時期から開始している。
また、当時は貴族など富裕層だけしか購入することのできなかった自動車を、一般大衆でも手にできるよう、さまざまな視点から試行錯誤を繰り返した。「クルマは大衆が買える価格で、充分な実用性を備えるものでなければならない」という、氏独自の哲学のもと、先進の技術と斬新なアイデアを投入したクルマづくりを続けた。
このユーザーの視点に立ったクルマづくりの思想が脈々と受け継がれ、フィアットは数々の独創的なクルマを生み出し、本国イタリアはもとより、欧州をはじめ世界各国でいまもなお愛されている理由のひとつになっているのだ。
先代のフィアット500は、1957年から20年におよぶロングセラーとなったのも、こうした精神が広く支持されたからに他ならない。誕生当時は、第二次世界大戦後の荒廃から、イタリアが復興を遂げるタイミングであり、人々に夢と希望と利便性を与え共に歩み、イタリア自動車業界の象徴的な存在となった。それゆえに新型「フィアット500」の誕生は、本国では国民的な大ニュースだったのだ。











