ウィルコムが2008年1月21日、同社の2008年春モデルを発表した。注目の新端末は、通話やメールといったケータイ本来のコミュニケーション機能にフォーカスしたモデルが中心。ワンセグやおサイフケータイなどには対応しておらず、他の携帯電話会社が続々繰り出すハイスペック端末を望むユーザーにとってはやや物足りない感はあるものの、ウィルコムのサービスに合致した、潜在需要を掘り起こすような小型で親しみやすいモデルと言える。

発表を行ったウィルコム代表取締役社長喜久川政樹氏。企業として黒字化体質を維持しており、年末年始および新春に向けたキャンペーンにより昨年12月に続き、1月も契約者数が純増に向かっていることを語った(画像クリックで拡大)

新機種は全部で音声5機種(うち2機種は従来モデルのマイナーチェンジモデル)、データ通信1機種となった(画像クリックで拡大)

デコメ、メール容量アップ…メール機能強化で厳しい状況から脱却

 ソフトバンクの「ホワイトプラン」にはじまり、「ダブルホワイト」や「ホワイト家族24」といったサービスがユーザーに浸透したことなどにより、ここ数カ月、ウィルコムでも主に音声契約の新規需要が減少。そのため、ウィルコムの契約者数は純減した月もあり、苦しい状況に陥っている。

 これに対し、ウィルコムが打ち出してきた戦略は、“通話”と“メール”というケータイの2つの主要サービスのヘビーユーザーをターゲットにすることだ。

 通話については、従来より「ウィルコム同士なら24時間通話無料」という、時間制限なしのメリットがあった。今回はこれに加え、新しくメール機能の強化を実施することで、メールを利用するユーザーへの訴求を強めようとしている。

 既に携帯電話・PHS市場は、契約者数が1億を突破。新しくウィルコムを契約するユーザーの多くは、すでに他社の携帯電話を所有しているという。しかもカメラやワンセグなどを搭載しているハイスペックなモデルが多く、ウィルコムに対しては、通話定額などの料金的メリットを目的に契約してきているとのこと。そこで、この料金的メリットをより強めようというのだ。

 確かに「いまさら、メール?」という読者も多いだろう。しかし、実際ウィルコムのサービスで通話定額は周知しているようだが、基本料のみでメールも定額となるということまでは浸透していないのが実情だという。

ウィルコム定額プランと他社の料金プランにおけるメール料金の比較。他社は家族間は無料というサービスはあるが、現行サービスではパケット定額オプション以外にメールが定額となるサービスはない(画像クリックで拡大)

メール料金比較の具体例として、100KB以内の写真付メールを5通送った場合、当然、ウィルコムなら無料だが、ソフトバンクなら525円がかかるというもの。そもそも、他社の場合、メールを使うだけで、基本料の他にオプション料がかかる(画像クリックで拡大)

 また、メール機能が一昔前のバージョンといった感もあった。そこで、今回のメール機能を強化したというわけだ。

 主な強化点は、ウィルコムのメール「PDXメール」のサーバー側メールボックス容量を1MBから15MBに増量したことと、ようやく他社との絵文字送受信サービスを1月22日に開始したこと。さらに、2月下旬には、新機種などの対応機種において、HTMLによる装飾メールサービス「デコラティブメール」、いわゆる“デコメ”を利用できるようにすること。これによりかなり他社のメールサービスに近づくことになる。

今回の発表におけるメール機能の3つの強化ポイント。絵文字もようやく他社との送受信が可能となる。ソフトバンクについても対応予定(画像クリックで拡大)

新しく導入される予定の装飾メールサービス「デコラティブメール」。4月30日まではキャンペーンとしてテンプレートの情報量がキャッシュバックにより無料となる(画像クリックで拡大)

 ウィルコム定額プランであれば、デコラティブメールなども含めたメールの送受信は、他社携帯事業者のメールアドレスやパソコンのメールアドレスなども含め、どの相手に対しても無料となる。そのため、機能的に同等となれば、通話とメールをヘビーに使うユーザーにとってはメリットが大きくなる。

ウィルコムの特徴である各機能やサービスの周知についての調査。通話定額については知っている人が多いものの、その他の項目が低いのがわかる(画像クリックで拡大)

 もちろん、ウィルコムとしても2台目需要のみで終わるつもりはなく、2台目として契約してもらった行く末には、1台目の座も奪いたいと考えている。そのため、今後も引き続き、そういった需要にこたえられるようなワンセグやおサイフケータイに対応したハイスペックモデルについても検討していくという。