明らかに、時間がなく、心にもゆとりのない世代……それが30代だろう。年齢なりの知識や経験を得たがゆえに、人もモノも情報も、うのみにしない一方で、就職活動で苦労した経験を踏まえ「またバブルが弾けるようなことがあって割を喰らうのではないか」などの思いもあり、疑い深い面があるのが特徴といえる。それだけにこの世代に向けて情報を発信することは容易ではない。

講談社 キング編集部 編集長 原田隆氏(画像クリックで拡大)

 このため、多くの出版社の人間が「30代向け総合誌は難しい」と答えるのではないだろうか。その難しい市場にあえて挑戦しているのが講談社の「KING」だ。創刊1年目を迎えてリニューアルを敢行している。

 リニューアルについて編集長の原田隆氏は、まず読者ターゲットを明確にしたという。創刊当初のターゲットは20代後半から30代男性で、これが結果的に誰に向けて作られているのか、また、カルチャーなのかビジネスなのか、つまり「オンかオフかが絞りきれていない雑誌」(原田氏)を生んでしまっていたという。そこで、改めて30代の働いている男性にキッチリと照準を合わせた。「理解されない切羽つまった感じを持っている世代。いろんな仕事をやらされて時間がない。そして自信がない。この2つの“ない”に答えるのがKING。つまり、オン(=ビジネス)の局面をメインにする」(原田氏)。

 2つのないを払拭するキーワードとして掲げられたのが“メンタルタフネス”。確かに、バブル時代には厚遇された社員研修も、就職氷河期には“即戦力=即労働”だったために、まともな指示や指導を受けていない場合も多い。さらに、コスト削減の下に人員も削られているので、いきなり中間管理職に就かされる30代は多い。上からの重圧、下からの突き上げを喰らい、「はしごを外された状態に陥っている」(原田氏)。こうした状況が自己啓発書のブームにつながっているわけだが、KINGはそうした一般的な自己啓発書ではなく、より日常のシーンに合わせた実用的でメンタルケアにも富んだ内容にするという。「男としてのビジネスサバイバル術を提示する」(原田氏)雑誌が目標だ。