12月初旬になると、ジョン・レノン/ザ・ビートルズ関連の音楽・映像ソフトが話題になるのは、今や年中行事のようなもの。今年もビートルズ主演映画『HELP!/四人はアイドル』の新装版DVDや、紙ジャケットで再リリースされたレノンの名盤が、オールドロックファンの関心を集めた。これは言うまでもなく、命日である12月8日を意識してのこと。そして今年は、映画界でもレノン関連の作品が、この時期を意識して公開されることになった。

 先陣を切るのは、まさに命日に公開されるドキュメンタリー『アメリカVSジョン・レノン/PEACE BED』。翌週の12月15日には、ジョン・レノン殺害犯の内面に迫るドラマ『チャプター27』が登場。そして公開時期はややずれるが、生前最後となるレノンの姿をカメラに収めた女流写真家のドキュメンタリー『アニー・リーボヴィッツ/レンズの向こうの人生』が2月に公開となる。

 映画というジャンルが、この時期の“ビートルズ商戦”に目を向けなかったは意外かもしれないが、これはビートルズ/ジョン・レノンの楽曲使用料が、ほかのアーティストのそれに比べてケタ外れに高いことに理由の一端がある。具体的な金額は不明だが、ビートルズ・ナンバーの使用を想定して作られた映画『アイ・アム・サム』(2001年)のプロデューサー、エドワード・ズウィックによると、「曲の使用料だけで総製作費に達してしまうことが分かった」と言うほどだから、その値段も想像できる。そのため、この映画では妥協案として、ビートルズ・ナンバーのカバー・バージョンが散りばめられることになった。

 『アメリカVSジョン・レノン』ではレノン夫人のオノ・ヨーコを監修に迎えることでこの問題をクリアし、レノンの楽曲をたっぷりと採用できた。いわばレノン・サイドの公認映画だ。内容は反戦運動によって米国政府にマークされたレノンの体制との格闘を辿ったもの。反骨の人でもあったレノンのスピリットを反映した作品となっているので、公認にも納得がいく。

 また、元々はTV用ドキュメンタリーとして製作された『アニー・リーボヴィッツ』はレノン・ナンバーが1曲使用されるだけなので、楽曲使用料自体はさほど高くない。これもまた、オノ・ヨーコのインタビュー映像が一部に使われており、ある意味、公認作品ともいえる。

『アメリカVSジョン・レノン/PEACE BED』
反戦運動を通じてジョン・レノンを描くドキュメンタリー。(製作・監督・脚本:デヴィッド・リーフ&ジョン・シャインフェルド/出演:オノ・ヨーコ、ジョン・ウィーナー、ロン・コーヴィックほか/配給:ザナドゥー、12月8日(土)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて全国ロードショー/公式サイト:http://www.peacebed-johnlennon.com/
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