「シネマ最前線」は日経エンタテインメント!誌がお届けする映画界のトレンド&マーケティング情報です。今週の映画興行成績と、週末公開される話題作について、隔週金曜日に掲載します。

女子中高生を集める「恋空」
(C)2007映画「恋空」製作委員会(画像クリックで拡大)

男子中高生に受ける「クローズZERO」
(C)2007 高橋ヒロシ/「クローズZERO」製作委員会(画像クリックで拡大)

 11月3日に公開された3本が同時に大ヒットし、映画界は“恵みの雨”にわいている。

 3〜4日の2日間の動員をみると、「バイオハザードIII」45万人、「ALWAYS続・三丁目の夕日」43万人、「恋空」39万人。また、公開2週目の「クローズZERO」が22万人。上位4作品の動員数は計149万人に上る。これは今年4番目の好成績。ゴールデンウィークや夏休みではない週末にこれだけ動員があるのは異例のことだ。

 「バイオハザードIII」「ALWAYS」は前作が大ヒットした続編なので、映画界では今回のヒットも織り込み済み。逆に驚いているのが「恋空」「クローズZERO」の集客ぶりだ。

TBSの逆転ホームラン

 映画関係者の公開前の予想では「どちらも興行収入で10億円から15億円程度ではないか」との声が多かった。しかし、最終的に「恋空」が35億円以上、「クローズZERO」が25億円以上を見込んでいる。

 「恋空」は、上下巻で180万部を超える携帯サイト発の小説の映画化。高校生の美嘉と同級生ヒロの波瀾(はらん)万丈の恋愛を描いている。主演は新垣結衣、監督は、「オレンジデイズ」などのドラマを演出したTBSの今井夏木。中心客層は女子中高生だ。

 「クローズZERO」は累計発行部数3200万部の人気マンガの映画化。不良の巣窟(そうくつ)の男子高校を舞台に、最強の座をめぐりケンカに明け暮れる高校生を描いている。いわゆるヤンキーマンガで、男子中高生を集めている。主演は小栗旬、「着信アリ」などの三池崇史が監督を務めている。

 特に「恋空」の公開が始まった3〜4日は、チケットが上映2時間前に売り切れるシネコンが続出。大ヒットにならないと予想したシネコン側が座席数の少ないスクリーンで上映した結果、映画を見られずに帰ったり、代わりに他の映画を見る中高生を多数生むことになった。翌週は、座席数の多いスクリーンに変更するシネコンが相次いだ。

 現在の映画興行界を支える観客は30代の家族連れで、10代は最も映画を見に来ない。だから映画界はケータイ恋愛小説とヤンキーマンガのヒットを予想できなかったのだ。

 2作品を製作したのがTBS。テレビ局製作の映画は人気ドラマを基にした作品が目立つが、オリジナル作品の企画力を発揮した格好だ。

 9〜10月の映画興行は「HERO」が興収80億円の大ヒットとなったものの、興収20億円を超えるヒット作が後に続かず、不振だった。

 先週末(10〜11日)の動員も、「恋空」を筆頭に上位4作品で125万人と客足は堅調だ。昨年に続いて、邦画が洋画を上回る可能性も出てきた。

(文/日経エンタテインメント!)

【最新ランキング】先週末は「恋空」が1位に順位を上げる
先週 先々 週タイトル 内容
1 3 恋空 携帯サイトで人気の小説を書籍化した原作を、新垣結衣主演で映画化したラブストーリー
2 2 ALWAYS 続・三丁目の夕日 東京タワーが作られた昭和34年を舞台にした人情ドラマの続編。吉岡秀隆ら出演者は同じ
3 1 バイオハザードIII ゾンビ相手にヒロインが活躍する人気ゲームの映画化。主演ミラ・ジョヴォヴィッチ
4 - ボーン・アルティメイタム 記憶喪失のすご腕CIA工作員が主人公のアクション映画完結編。主演マット・デイモン
5 4 クローズZERO 累計発売部数が3200万部を超す人気ヤンキーマンガを小栗旬、山田孝之で映画化
6 - YES!プリキュア5
/鏡の国のミラクル大冒険!
5人のヒロインが活躍する、女子向け人気テレビアニメの映画版
7 - やじきた道中てれすこ 弥次さん喜多さんに、花魁(おいらん)が加わり3人が珍道中を繰り広げる時代劇
8 5 ヘアスプレー 太めの女の子が、人気ダンス番組に出演してスターになるシンデレラストーリー
9 6 象の背中 がんで余命半年と宣告された40代のサラリーマン。彼は残りの人生をどう過ごすのか。主演・役所広司
10 7 HERO 木村拓哉が型破りの検事にふんした人気ドラマの映画化。松たか子との恋の行方は?
左が11月10〜11日、右が前週末の全国の興行収入順位(興行通信社調べ)
【今週末の注目公開作品】「呉清源」には柄本明や松坂慶子ら日本人も出演
タイトル 内容 上映館
呉清源 極みの棋譜 中国から来日した実在の天才碁士、呉清源の生涯を世界的巨匠の田壮壮が描く シネスイッチ銀座など
君の涙ドナウに流れ
ハンガリー1956
ソ連の弾圧が続く1950年代のハンガリー。水球の代表選手が時代に翻弄(ほんろう)される シネカノン有楽町2丁目など
ウェイトレスおいしい人生のつくりかた 田舎町のウェイトレスが、予想外の妊娠をきっかけに本当の自分に目覚める シャンテシネほか