今やすっかり定着した感のあるブックカフェ。しかし、ひとくちにブックカフェといっても、その形態は様々。ジュンク堂や三省堂のように、新刊書を売る大型書店の中にある店や、セレクトした古本を売る小さな古書店で飲食ができるタイプも。この2つはどちらも書店主導型だが、逆にカフェ主導でカフェのオーナーが自分の好きな本や雑誌を並べ、店内で自由に読める店も急増した。なかには客の気に入った本を会員制で貸し出す貸本屋スタイルの店まで登場。とにかく、ここ1〜2年で本と飲食が急接近。ブックカフェブームを巻き起こしている。

 実は、こんなにブックカフェが急増した背景には若者の就職難がある。少ない元手で始められる古本屋は手っ取り早く、自分で本を売ってみたいという若者が増加。それならコーヒーもケーキも置いてという発想でブックカフェが続々と生まれた。

 そんななか、若者に人気の街・吉祥寺では「書を持ってカフェへ行こう!」を合言葉に、書店のリブロ吉祥寺店と吉祥寺の5軒の個性派カフェ(イルカッフェ、Patisserie A.K Labo、おちゃらか、ORANGE cafe、Yucca.)がコラボレート。10月10日〜11月10日まで実施したのが「カフェ読」フェアだ。リブロ吉祥寺店にはカフェを模した売場が登場。おすすめの「カフェで読みたい本」をアピール。面白いのは、この本のセレクトを参加したカフェのオーナーやスタッフが担当していること。本の推薦文もついている。

 ブックマーカーやブックライトなど読書関連雑貨も販売。参加カフェがつくった特製サブレまでプレゼント。フェアの内容や吉祥寺マップも入ったフリーペーパーも同時配布した。一方、5軒の個性派カフェでは読書しながらでも食べやすい「読食」メニューを開発。リブロ吉祥寺店で本を買ってから来店した客には割引サービスも実施。読書の秋には好きなだけ本が読める居心地のいいカフェで、まったりとした贅沢な時間を過ごそうというライフスタイルを提案している。

リブロ吉祥寺店に設けられた「カフェ読」コーナー。参加した5軒のカフェのオーナー、スタッフが選んだ小説、エッセー、絵本などが並ぶ(画像クリックで拡大)

イルカッフェ(電話0422・20・1306)ではハンバーガー風サンドなどの「読食」メニューを考案。フェア終了後も希望者には読書灯の貸し出しなどを計画中(画像クリックで拡大) フェア開催時にリブロ吉祥寺店で販売された読書灯「マイティブライトブックライト」。クリップで本の表紙にセットすればカフェでも使えるスグレモノ(画像クリックで拡大)

 今回のフェアを担当したリブロ吉祥寺店の筒井陽一さんは「やはり女性に人気があり、浅生ハルミンさんの『私は猫ストーカー』(洋泉社)などのエッセイや雰囲気のよい料理本がよく売れています。今後もこういった企画は広げ、つなげていければと思います」と語る。カフェ側のリーダーシップをとった「イルカッフェ」オーナーの別所有さんは「うちの店でも、ひとりで本を読む方が多くて。20代後半から30代が中心ですが、お酒を飲んだり食事をしながら、夜11時の閉店まで何時間も本を読んでいるのは男性の方が多いですね。静かなカフェで心ゆくまで本を読みたいというニーズは絶対あるし、若い人にもっと本を読んでもらいたいな、本屋さんとカフェを繋ぎたいなと常々思っていたんです。そこへリブロさんからのアプローチがあって今回の企画が実現しました。今回のフェアでは心おきなく読書を楽しんでいる方が増えて好評だったので、来年もまたやりたいですね」と語る。

 下北沢にあるcafe ordinaireオーナーの秋本高志さんは「8年前にコーヒー、読書、ジャズの3つが楽しめる、自分自身が居心地がいいと思う店をつくりました。図書館みたいに静かな空間です。これがハマったと思うんですね。みんなそういう場所を求めてた。ほとんどが常連さんで7割が女性客です。店にある本が好きなだけ読めて、ほどよくほっといてくれるところがいいみたいです。そんなうちの店が、急にブックカフェって呼ばれるようになったのは3〜4年前からです」と語る。最近のブックカフェ人気の背景には、おひとりさまの増加、スローライフ志向、居心地のよい第2のリビングでの読書の快楽などが深く関わっているようだ。

cafe ordinaire(オーディネール)」(電話03・5738・0880)では、さまざまなジャンルの約1000冊の本や雑誌が店内のあちこちに置かれている(画像クリックで拡大) カウンター席のほか、2人がけのテーブル席、ソファ席などもあり、お気に入りの場所でジャズを聴きながら読書を楽しむことができる(画像クリックで拡大)