ソニー

PFR-V1

実売価格:4万4800円

発売日:近日発売予定(予約受付中)

 一見するとヘッドホンのようだが、実はヘッドホンではない。ソニーはこの「PFR-V1」を「パーソナルフィールドスピーカー」と呼んでいて、ヘッドホンと称していないことに、まず注目してほしい。

 平たく言うならこれはヘッドホンとスピーカーのいいとこ取りを狙った製品だ。いまやヘッドホンリスニングはすっかり定着し、高性能な製品が豊富なラインアップから選べる時代である。それでもいまだヘッドホンには避けがたい大問題が残っている。

 それが「頭内定位」である。

ヘッドホン VS スピーカー

 リスナーの正面で鳴っているように聴こえるはずの音が、ヘッドホンでは頭の中で鳴っているように聴こえてしまう。これがヘッドホンの抱えている“頭内定位問題”だ。

 ヘッドホンの音場は、スピーカーに比べて一点に集中する傾向がある。これがスピーカーリスニングと比べて不自然、かつ長時間のリスニングで疲れやすいということで、ヘッドホンリスニングを敬遠する人も多い。

 市販のステレオ音源のほとんどは、リスナーの正面に置かれた2台のスピーカーで再生されるように録音されている。だからヘッドホンのように耳に正対したドライバーで再生しても、録音時の音場を再現できないのである。音像の定位するポイントが耳の幅の範囲に収まってしまい、頭の中に集中しているように聴こえてしまうのだ。

 ヘッドホン再生に特化した「バイノーラル(ヘッドホン向けに処理された音声)」録音という手法もあるが、ごく限られたアーティストが時々思い出したようにやるくらいで、一般的にはまったく普及していない。最近のライン録音やモデリング音源を使ったソースには、むしろヘッドホン向きと思えるものもあるが、マイクロホンで収録したアコースティックな音源は、やはり本物の音場とかけ離れた感じになってしまうのである。

 ではスピーカーが完璧かと言えば、そうでもない。まずスピーカーリスニングにはそれなりのスペースが必要になる。左右のユニットを耳の高さに合わせ、リスニングポイントと三角形になるよう設置し、かつ正しいステレオイメージを得るには、このリスニングポイントから人は動くことができない。まさしくスピーカーの前にくぎ付け、ということになってしまうわけだ。

 スピーカーのような自然な音場感が得られて、ヘッドホンのように気軽に使えるものがあれば良いわけだが、なかなかそう都合の良いものはないのである。