「CESA(コンピュータエンターテインメント協会)会長になってからの約3年間、ゲーム業界の加速度的な伸び方には驚かされてきた」――。2014年1月8日、東京都内のホテルで開催した、ゲーム産業の業界団体であるCESAの新年賀詞交歓会のあいさつにて、鵜之澤伸会長(バンダイナムコゲームス副社長)は、激変するゲーム業界について語り始めた。

 「スマートフォンが誕生してから、全世界的にスピード感がものすごい。例えば、5000万人まで会員数を伸ばした動画配信サービスの米Netflixはビジネスモデルを大きく変えた。また、中国のモバイル・IT系企業のサービスは爆発的に伸びている。デジタル化、ネットワーク化によって、ゲーム、映像、出版、音楽などエンターテインメント業界全体が新しいことにチャレンジできるようになった」と、エンターテインメント業界全体の枠組みが大きく変化していることを、鵜之澤会長は言及する。

 それがゆえに、「誰が今年のヒーローとなるのか、全く予測がつかない。それほど変化のスピードは速い」(鵜之澤会長)。どこから新しいヒットが生まれ、急成長を遂げるのか予想しにくくなっているのは事実だ。

 「こうした新しい時代の変化に対応するためにも、新生CESAとなる」と、鵜之澤会長は力説する。CESAは、今年4月に、スマートフォンなどの携帯電話向けゲーム会社が中核となって設立した「ソーシャルゲーム協会(JASGA)」と統合する。CESAにとって、手薄だったスマホゲーム専業企業を取り込むことで、ゲーム産業の全体の底上げが期待できる。事実、「4月以降、新生CESAに加入いただける企業は増える見込みだ」(同会長)という。

 JASGAは、2012年3月、ソーシャルゲームプラットフォーム事業者6社が設置した連絡協議会をベースに設立されたソーシャルゲーム関連会社向けの団体(2014年4月時点で71社が加盟)で、グリーの田中良和社長とディー・エヌ・エーの守安功社長が共同で会長を務めている。青少年向けソーシャルゲームの利用ガイドラインの策定や、リアルマネートレード対策、コンプガチャ問題に対する自主規制などの諸問題について話し合ってきた。

 JASGAのスタートから約3年が過ぎ、家庭用ゲーム機と携帯電話ゲームの垣根は低くなり、スマホゲームを収益の柱に据える家庭用ゲーム会社も増えている。「家庭用ゲーム機中心だったところからスマホゲームを統合し、新しく生まれ変わる時代だ」と、グリーの田中社長はCESA賀詞交歓会であいさつをした。JASGAが取り組んできた活動を、新生CESAが引き継ぎ、より幅広い業務態勢でスタートする。「視野を少しでも広げて、新しいビジネスにチャレンジしたい」とする鵜之澤会長の願いに応えられるか、その原動力となることを期待したい。

(文/渡辺一正)