8月が終わった9月初旬に感じる寂しさ――。幼い頃の“夏休みが終わってしまった”という記憶がそうさせるのか、1年の過半が過ぎたことを改めて実感するからなのか、それとも単なる夏バテなのか理由は定かではないが、この時期、何となく心に喪失感を感じることはないだろうか。

 そんな大人たちに聴かせたい曲が、ボーカリストRuriを中心に、バイオリニストSallyが加わった音楽プロジェクト「Lapis Lazuli」が2012年9月にリリースした『夏の終わり』である。プロデュースしたのは五木田岳彦氏で、全世界の60社のサイトから配信されている。

Lapis LazuliのRuriとSally
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 五木田氏はNHK「クローズアップ現代」をはじめ、「映像の戦後60年」「激流中国」「さらばゴジラ」など、数多くのNHKスペシャルや報道番組のテーマ曲、アニメーション作品などの作曲を手がける音楽家である。

 曲のテーマは、“大人になっても忘れない子どもの頃のちょっとした思い出や気持ち”。遠い思い出を呼び起こす歌詞が、Ruriのソプラノボイスで送り出され、やわらかなバイオリンの響きと相まって何とも心地いい。まさに癒やされる感じの曲だ。

 五木田氏は次のように語る。「大人になった今でも、子どもの頃の記憶を思い出すと、どこか懐かしさやほほえましさを感じるケースがあります。たとえそれが、今となっては馬鹿げた空想だとしても……。そんな思い出深いストーリー、言葉やエピソード、人々の記憶のかけらを呼び集めた物語をもとに作られたオリジナル曲を、美しい歌声と演奏で人々の心に語りかけることにより、多くの疲れた人々の心に安らぎを与えることができないだろうか――このプロジェクトはそんな思いから生まれました」。

 音楽は単なるリラクゼーションや癒やしだけではなく、医療の現場でも活用されている。そうした効果にも期待しつつ、とびきり暑い夏をくぐりぬけた秋の夜は『夏の終わり』を聴きながら、子どもの頃を思い出すのは楽しいひとときになるだろう。