ソニー、東芝、日立製作所の3社は2011年11月15日、スマートフォンやタブレット端末向けの中小型ディスプレイ事業を統合することで正式契約したと発表した。官民ファンドの産業革新機構(INCJ)が中心となって2012年春に設立される新会社「ジャパンディスプレイ」に事業が統合されることになる。これによって3社の子会社(ソニーモバイルディスプレイほか1社、東芝モバイルディスプレイ、日立ディスプレイズ)の全ての発行済株式等が新会社に譲渡される。

 新会社はINCJを割当先とする2000億円の第三者割当増資を実施する。株主及びその議決権付株式の保有比率はINCJが70%、ソニーが10%、東芝が10%、日立製作所が10%となる。社長には半導体大手のエルピーダメモリの大塚周一・前COO(最高執行責任者)が就任する。

 同日、INCJはパナソニックと同社の子会社であるパナソニック液晶ディスプレイの茂原工場を、ジャパンディスプレイに譲渡することで基本合意したと発表した。年内をめどに正式契約し、2012年4月に譲渡を終える予定としている。

 パナソニックは事業再構築の中で、液晶パネルを製造するパナソニック液晶ディスプレイ茂原工場の2011年度中の操業停止を決めていた。パナソニック液晶ディスプレイの液晶パネル生産拠点は姫路工場に移転することとなる。ディスプレイパネル生産の事業規模を縮小するパナソニックと、子会社を統合することで競争力強化を狙うソニー、東芝、日立3社の思惑が一致した形だ。

 矢野経済研究所によると2011年の世界のスマートフォン出荷台数は前年比約163.4%の約4億8000万台の見込み。タブレット端末の世界市場も順調に拡大すると予測している。ジャパンディスプレイは、スマートフォン、タブレット端末向けのディスプレイを中心に生産する予定だ。

 現在ソニー、東芝、日立3社の子会社が展開する中小型ディスプレイ事業の売上高は合算で約5000億円だが、2016年3月期に約7500億円への拡大を目指すとのことだ。

(文/安蔵 靖志=IT・家電ジャーナリスト)