「開発者だけではなく、経営者やビジネス・プランニング自体にクリエイティブが要求される時代になっている」――。コンピュータエンターテインメント協会(CESA)会長の和田洋一氏(スクウェア・エニックス社長)は、2011年1月6日に開催したCESA新年賀詞交歓会にて、新しい"ゲーム市場"を作るための課題について語った。
和田氏が新しい時代や市場を強調する背景には、「メディアはゲーム業界が縮小し続ける一方、新しいジャンル(のゲーム)は伸びていると報道する。どこまでがゲーム業界の範囲なのか、議論されるようになってきた」というカテゴリーに関する不透明感が広がっているからだ。
新しいジャンルのゲームとは、『ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)』上のゲーム。国内市場ではグリーやモバゲーなどが席巻し、海外では巨大化するFacebookが主要プレイヤーだ。これらは、PCや携帯電話などで気軽に遊べるゲームが多く、ゲームを有利に進めるのに必要なアイテムなどを課金するのが主なビジネスモデル。従来のパッケージ販売がメーンの家庭用ゲームとは異なる。
「昨年からソーシャル・ゲームが話題だ。(我々も)家庭用ゲーム機だけではなく、携帯電話やスマートフォンなどの新しい市場、新しい価値を作り出さなければならない」(CESA副会長・鵜之澤伸氏:バンダイナムコゲームス副社長)という認識は、ゲーム会社の間で共通になりつつある。
もはや、数年かけて、会社の開発リソースの多くを注ぎ込んだビッグタイトルに頼るというビジネスモデルだけでは、ゲーム企業の成長戦略を描けない。新しい強みを見出し、再浮上するための努力がこれまで以上に求められている。
苦戦する日本市場を尻目に、その存在感を増しているのが、アジアマーケット――とりわけ中国市場だ。「中国の経営者は、『中国には他の国々が持っていない経営資源=市場ニーズがある』と話す。何もないところで戦う姿勢、したたかさは見習わなければ。我々はこれまでも市場ニーズを作り出してきた。新しく創造して、日本を元気にしたい」と、CESA理事の臼井興胤氏(セガ社長)は熱く訴えた。
ゲームを作る開発者だけではなく、経営者にもゲームビジネスを創造するクリエイティビティが必要だという和田氏の発言は、日本企業が得意とする技術や品質の高いサービスなどの「知恵」による勝負を、一丸となって取り組む姿勢が大事だということを意味する。2011年はまさに新しい競争時代の幕開けとなる年になりそうだ。この成果のいくつかは「東京ゲームショウ2011」(9月開催)で、きっと見ることができるだろう。
(文/渡辺一正)











