コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の和田洋一会長(画像クリックで拡大)

 「エンターテインメントコンテンツを作る土壌をどう豊かにしていくかが継続的な課題」――。コンピュータエンターテインメント協会(CESA)会長の和田洋一氏(スクウェア・エニックス社長)は、2010年1月7日開催のCESA新年賀詞交歓会で、業界団体としてCESAが今年取り組む課題を語った。

 この年末年始は『New スーパーマリオブラザーズ Wii』(任天堂)や、『ファイナルファンタジーXIII』(スクウェア・エニックス)など、人気タイトルがゲーム売り場に活況をもたらした。

 和田会長は昨年の業界を振り返り、「コンソールゲーム(ゲーム専用機でプレーするもの)だけでなく、iPhoneなどのスマートフォン、携帯電話、PCオンラインゲーム、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、遊びの幅が広がり、ユーザー層が拡大している」との認識を示し、幅広い顧客層に対して、より新たな楽しみを提供することがゲーム産業の責務であるとした。

 一方で、2009年の国内ゲームソフト市場は、対前年比で98.2%(ゲーム情報誌を発行するエンターブレイン調べ)と、ほぼ横ばいであるものの、『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』(410万968本、同)や『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』(338万2597本、同)など、限られた超人気タイトルで全体の売り上げを支える構図が鮮明になってきた。

 こうした傾向を危惧する和田会長は、「ユーザーの方にゲームを見ていただく『東京ゲームショウ』(9月16日もしくは17日〜19日・幕張メッセ)に力を入れていくのに加え、特に今年は、(ゲーム開発者向けセミナーの)『CEDEC(CESAデベロッパーズカンファレンス)』(8月31日〜9月2日・パシフィコ横浜)を強化することで、ゲーム作りの土壌を豊かにしていきたい」と、その対策を語った。

 人気タイトルに一極集中する現状を変えるには、バラエティ豊かなタイトルが市場をにぎやかにしている必要がある。魅力あるゲームソフトを数多く生み出すには、業界をあげて作り手であるゲーム開発者を育成することが急務だという認識に立つ発言だろう。

 CEDECは昨年より講演セッション数を大幅に増やすなど、大きくリニューアルし、過去最多となる3500人の聴講者を集めた。今年は、短時間セッションの設定や海外講師の招聘(へい)拡大など、新たな工夫も加える。2月からは、ゲームクリエーター等を対象とした講師の公募を始め、開発者同士の活発な交流を促したいとしている。

 また、来賓として挨拶した、経済産業省・文化情報関連産業課長の信谷和重氏は、今年のコンテンツ産業向けの取り組みとして、本格的な普及が見込まれる3D関連技術に向けた人材育成と、海賊版などに対処する国際的な法的枠組みであるACTA(模倣品・海賊版拡散防止条約)の早期実現を挙げ、ゲームを含めたコンテンツ産業の環境整備に注力することを表明した。

(文/秦 和俊)