ホンダが開発した世界初のバイク用デュアル クラッチ トランスミッション(画像クリックで拡大)

 本田技研工業は2009年9月8日、世界初のバイク用「デュアル クラッチ トランスミッション」(以下DCT)を開発したと発表した。簡単な操作でスポーツライディングが楽しめ、さらに伝達効率が優れた機構によって、燃費性能も従来のマニュアルトランスミッションと同等以上の性能を実現した。2010年に欧州と北米、日本で発売予定の大型スポーツモデル、新型「VFR」に採用を予定している。

 今回開発したバイク用DCTは軽量コンパクト、既存のエンジンレイアウトを大きく変更せずに搭載できる。スクーターなどに使われているベルト式CVT(無段変速機)に比べ、変速時間が短くパワーロスも少ない。バイクに求められる繊細なアクセル操作に対応するため、電子制御技術を駆使して違和感のないスムーズな発進/変速特性を実現した。

また、ライダーの要求に幅広く対応するため、一般走行用の「Dモード」と、スポーツ走行用の「Sモード」の、2種類のフルオートモードと、マニュアルトランスミッション感覚の走行を可能にする「6速マニュアルモード」を備えている。今後は二輪の大型機種に順次採用を検討するなど、特に先進国でのスポーツモデルへの適用拡大を予定している。

左はDCTの構造図。右側に奇数段ギア用と偶数段ギア用の2組のクラッチがあり、シフトアップやシフトダウン時には、次のギア側にクラッチを切り替えて素早く変速できる。右はVFRの現行モデル(画像クリックで拡大)

 またホンダは同日、カブ系エンジンに搭載可能な新型オートマチックトランスミッション「CVマチック」の開発も発表した。主に新興国で、多くのユーザーに愛用され続けているカブタイプの変速機構をフルATして、さらなる実用性と利便性の向上を図った。このシステムは、10年発売のASEAN(東南アジア諸国連合)向けのカブタイプに搭載を予定している。

 新開発のCVマチックは、新開発の冷却機構を採用してドライブベルトに発生する熱負荷問題を解消。ベルトの耐久性を確保しながら、ドライブプーリーとドリブンプーリーの軸間が短くコンパクトな構造を実現した。エンジン搭載位置を大きく変える必要がなく、車体設計の自由度に優れているという。

カブ系エンジン用の「CVマチック」はゴムベルトと2組のプーリーを組み合わせたCVT(画像クリックで拡大)

冷却用の外気を上から吸って上に吐き出す構造で変速機内への水の侵入を防ぐ(左)。スクータータイプに比べ、大きなタイヤサイズが選択できる(右)(画像クリックで拡大)