2006年5月に創刊したフリーペーパー「JANIME」
 『セーラームーン』や『NARUTO』のキャラクターにコスプレした若者たちが、アニメやゲーム関連のグッズを買い漁る――と言っても、ここは日本ではなく米国。ここ数年、米国では日本のアニメやゲームキャラクターに関するファン向けイベントの開催が急増している。

 こうした米国の“オタク”向けに開催されるファンイベントで、流通拠点を開拓するフリーペーパーがある。2006年5月に創刊した、アニメやゲームなどジャパン・ポップカルチャー情報満載の「JANIME(じゃにめ)」だ。仕掛けたのはワンアン(東京・新宿)の市村恭一社長。同氏は「JANIME」流通にファンイベントを利用した背景を次のように語る。

 「米国にはゲーム関連の『E3』をはじめ、『ANIME EXPO』や『コミック・コンベンション』など、日本の企業も参加する大型イベントがいくつかある。そうしたイベントの活用も重要だが、うちが目を付けたのはもっと小規模なコアファン向けのもの。イメージとしては日本の“コミケ”の縮小版。こうしたイベントの開催は全米で約200会場を超え、その中には1万から5万人程度を集客する規模のものも50ほどある。会場には読者となる“真のオタク”が来場することに加え、地元のビデオショップやアニメ、ゲーム専門店など現地のコアファンに直結する流通関係者たちも集う。各イベントで知り合った彼らの店頭に、『JANIME』を置いてもらうことで媒体流通の拠点が確保され、定期刊行物としてコアファンに情報を提供できる。これは米国における通常の流通ルートを利用するよりも効率がいい」

 米国のファン向けに情報発信するならば、ネット媒体という手もあるだろう。だが、市村氏は「まずフリーペーパーという媒体を作り、そこでネット利用者の集客とドメインの告知を行おうと考えた。日米の広告主(小売業者も含む)にサイトドメインを告知するにも、実は紙媒体という"オールドメディア"からスタートした方が効果的」と話す。

 フリーペーパーの本場である米国で、日本発のコンテンツと日本のマネジメントで、広告メディアとして認知されるか――。今後の同誌の動きが注目される。

(日経BP社 中村 均)